僕はサピックスに通う小学生の生徒の指導が多いです。ベイタウンでサピックスに通う生徒の多くは、千葉私立四天王(と僕が勝手に名付けている)『渋幕・市川・東邦大東邦・秀英』を目指していますが、偏差値が50以下であれば、市立稲毛や千葉大附属を検討することをオススメしています。
この2校は私立とは傾向が違うので、塾での成績がふるわなくても可能性があること、授業料が安いことが魅力です。しっかりとした学力を付けてくれる学校でもあります。
最近の入試(2021年)でも、千葉大附属中を目指す生徒を指導していました。そして合格しました。この記事ではその経験をふまえ、千葉大附属中の対策についてまとめていきます。
正確な情報は必ず以下の公式サイトでご確認下さい。
http://www.jr.chiba-u.jp/category/1433357.html
ベイタウンから通える範囲の学校の偏差値は近年かなり高くなっています。SAPIX偏差値で50以上(SAPIX以外の塾では60程度)ないと、距離が離れたり進学実績で満足のいく学校がないというのが現状です。そこまでの偏差値には届かないけれど、「これまで一生懸命勉強してきたのに、地元の公立中学に行くのは残念だ」と考えている生徒は、偏差値的に見ても市立稲毛や千葉大附属中が狙い目です。
また、問題傾向が私立中学の受験とは全く違います。『理系科目で苦戦している』『暗記が苦手』『文系が得意』『思考力や読解力がある』『その場で工夫できる』という生徒は、公立中学受験に向いています。
一方で、全く勉強してこなかった生徒が『受かれば儲けもの』のような気持ちで受験しても、千葉大附属中などに合格できることはありません。そうしたギャンブルのような考え方で受験するのは、今後の勉強態度にも悪影響を及ぼすので、やめておいた方がいいでしょう。受けるのであれば、しっかりと対策し、合格の可能性がある状態で受験すべきです。
千葉大付属は、千葉大学が国立ですので、当然国立です。ですので学費の心配はしなくて良いでしょう。
千葉大附属中学は、中高一貫校ではありません。中学までしかないので、高校受験をしなくてはいけません。中学受験に向けての準備が間に合わなかったけれども、最寄りの公立には行かず、少し高いレベルで高校受験を目指したい、という生徒に向いていると思います。
以上のようなものになります。読解・記述・弁論に偏っていることは明らかで、塾の成績(特に理系)が思わしくなくても、チャンスがあると言えます。
上記は令和2年度(2020年)入試の志願者と合格者になっています。これによれば、1次試験(書類選考)は404人のうち350人合格しているので、学校で問題を起こしておらず、願書と自己アピール申請書を丁寧に書けば、基本的に通るものと思われます。
2次選考は341人中61人が合格、補欠合格者を合わせれば137人が合格しているので、合格(補欠含む)の確率は40.1%となります。公立中学入試は上で述べたような、『受かれば儲けもの』『記念受験』という感覚で受ける生徒が一定数いるので、きっちりと勉強した生徒にとっては、かなり合格確率が高いと言えます。
補欠合格がかなり多いのも特徴で、千葉大附属中に合格したものの、難関私立中学(市川・秀英・東邦大東邦・渋幕あたり)あるいは市立稲毛に合格したために、千葉大附属中は辞退する生徒が多いと思われます。千葉大附属中に合格しても、3年後には高校受験をしなければならないので、それを敬遠する層がおり、難易度が下がっているとも言えます。
ちなみに市立稲毛と千葉大附属を併願する生徒が多いですが、市立稲毛の方が人気で倍率も高く、両方合格した場合は市立稲毛に進学する場合が多いようです。
一般的な中学入試ではないので対策が難しいですが、特殊なだけに、しっかり対策すればチャンスが高まるとも言えます。
市進で対策講座を行なっています。もともと市進に通っている生徒の受講が多いですが、外部から受講することもできます。2020年(2021年度の受験)は2週間に1度、全7回の講座でした。自己アピール文の書き方や、作文、総合問題、プレゼンテーションの練習など、必要なことを全てカバーしているようです。
入試本番のプレゼンテーションは事前に準備していったことを話せば良いのですが、塾の対策講座などで人前で大きな声で話す練習をしていなければ、本番でしっかりアピールすることは難しいでしょう。家だけでの対策は難しく、こうした講座の受講はほとんど必須だと思います。
市進におけるプレゼンテーションの練習ではグループに分かれ、グループ内の生徒でプレゼンを評価しあい、アドバイスをするようです。紙を見ないで顔を上げて話す、大きな声で話す、時間を余らせないといったポイントが重視されているようです。プレゼンの内容について塾の先生の評価や添削をもらえると良いのですが、内容自体ではなく上記のようなポイントにフォーカスしているようです。つまりプレゼンの内容まで塾の先生に頼るわけにはいかず、ご家庭で仕上げる必要があります。僕の生徒はプレゼン内容を僕と話し合い、実際に練習しました。塾のプレゼン講座はあくまで『度胸をつける場』として考えれば良いのかもしれません。
本来公立中の入試問題は本来、塾で習うような高度な知識がなくても合格できるように編み出されたものだと思われますが、内容が特殊かつ非公表であることから、むしろ塾が必須になっていることは皮肉です。少なくとも問題内容を公表して、塾や家庭教師なしでもご家庭で対策できるようにすべきだと考えます。
基本的な書類に加えて、『自己アピール申請書』を提出する必要があります。これが極めて重要になります。
というのも、一次選考で1割~2割程度が不合格になりますが、学校の調査書とこの『自己アピール申請書』によって審査されることになるからです。またこれを土台にして二次選考におけるプレゼンをすることになるので、プレゼン内容を予め考えた上で書く必要があります。
またプレゼン後には試験官から簡単な質問があります。自己アピール申請書に嘘を書くと、しどろもどろになったり、申請書と矛盾する内容を答えることになり、非常に印象が悪くなります。
『千葉大の教育理念を理解しています』ということが伝わる自己アピール申請書に仕上げることが大切です。指定されている条件を満たしていなかったり、字が汚かったり、枠からはみ出していたりすれば、印象が悪くなります。当然、子供に任せて自由に書かせて、そのまま提出というわけにはいきません。
今年の生徒の『自己アピール申請書』は、生徒の話を聞いて、僕と一緒に何時間もかけて練り上げて書きました。またアピールするための添付書類も用意しました。字はかなり細かく、記入欄に過不足ないよう量を調整しました。
上記画像の『千葉大学教育学部附属中学校が求める生徒像』にもあるように、『学力・思考力・判断力・表現力』が重視されています。つまり公立とはいえ、『元気なだけ』『性格が良いだけ』『スポーツができるだけ』という生徒を求めてはいないということです。あくまでも『優秀な生徒』を求めているのであり、そこを勘違いしてはいけないでしょう。
『千葉大学教育学部附属中学校が求める生徒像』、あるいはプレゼンをさせることからも分かるように、学力以外の面では主体性とコミュ力が求められているのであり、それをアピールするような内容が必要になります。
成果をアピールする添付書類を2枚まで提出することができます。学力をアピールするもの→『塾の成績表』、主体性をアピールするもの→『校外の活動の成果を証明するもの』の2つがあれば完璧でしょう。もちろん何かしら提出した方がよいです。塾での成績表はSAPIX偏差値が46であることから、それ以上の成績表があれば、間違いなく有利になるでしょう。他塾であっても千葉大附属の偏差値を1回でも上回る成績が取れたのであれば、それを添付すればよいでしょう。外部試験の添付が可能であるとわざわざ書いてあることは示唆的です。あまりに低い成績はアピールにならないかもしれませんが、かといって減点されるわけではないでしょうから、一番良いものを添付しておけば良いと思われます。
校外活動(スポーツやボランティア活動など)は一般的に5年生までの内容となるでしょう。塾に通っている生徒は6年生は勉強に集中することが多いからです。そこは隠す必要がなく、むしろ『5年生まではこのような校外活動を熱心にやっていた』→『6年生からは勉強に集中した』→『校外活動での体験が勉強にも生かされた』→『中学ではこのようにやっていきたい』というような流れで書けばよいと思います。
あくまで本当のことを真摯にアピールするということですね。「このくらいでいいでしょ」とか「どうせ書類なんて見ないんでしょ」とか「書くのが面倒だなぁ」というような、親子のいい加減な気持ちが透けて見えるようなものはNGです。
自己アピール申請書の書き方のみでもご相談にのりますので、info@baytown-tutor.comまでご連絡ください。
以上のような出題形式は毎年受け継がれているようです。市進などの対策講座を持つ塾では、過去問がなくても、生徒から聞いて問題内容を把握しており、類題を提供してくれます。特殊な問題なので、そうした講座を受けておいた方が良いでしょう。
SAPIXなどである程度の成績を収めている生徒にとっては難しい問題ではありません。ただし文系に偏っているので、記述力や読解力に難のある生徒、初見問題に弱い生徒には向きません。本好きの女子にはとても向いています。
コンパスや三角定規を持参するように指定されているが、実際には2020年・2021年は使用しなかった。放送で「コンパスと三角定規は貸し出ししません」と言われたそうです。鉛筆や消しゴムは忘れた生徒に貸し出しがあります。もちろん使わない可能性があるとしても、今後の年度においても指定があればコンパスや三角定規を持っていかねばなりません。
2021年度の内容をざっくりお伝えします。生徒から試験内容を聞いて作成したものなので、細かい問題文の文言や問題順序は確かではありません。本当は問題用紙は2枚だったそうです。一番下に全プリントと解答のリンクがあります。
実際は以下の問題に加えてもう一問ありました。前回りをする体操選手の写真(イラスト?)がコマ送りの形で2種類掲載されており、『前回りの後に次の技につなげるにはどちらの体勢が良いかを記述せよ』というような内容だったようです。写真(イラスト)を実際に見ていないので、問題の意図を把握することが困難であり、省略しました。おそらく『体を丸めて縮めていた方が次の技につなげやすい』というような答え方をするのだと思われます。
2021年度の問題と解答(上記画像よりきれいです)はこちらからどうぞ。
あなたは「世界の平和に大切なこと」は何だと思いますか。600字程度で書きなさい。(2024年度入試・25分)
あなたは自分と意見が異なる人と話し合いをするとき、どのようなことに気をつけますか。400字~500字で書きなさい。(2021年度入試・25分)
自由とは何か、具体例を含めて、あなた自身の考えを400~500字で書きなさい。(2020年度入試・25分)
2020年度、2021年度の作文問題(上記画像よりきれいです)はこちらからどうぞ。
作文問題の添削も承ります。info@baytown-tutor.comまでご連絡ください。