昭和秀英・頌栄・稲毛国際・専修大松戸に合格したEさんは4年生後半からの指導でした。
読書が大好きで、当時僕が読んでいたトルストイに自分もチャレンジしてみるなど、高いレベルの大人の文章に親しんでおり、国語は苦労していませんでした。一方、算数が苦手でSAPIX偏差値でなかなか50に届かず30~40くらいのこともありました。
僕の指導時間には算数を中心に勉強し、毎週の塾のテキストを一緒に解きました。基本的にはSAPIXのデイリーサピックスの簡単な問題から取り組み、難易度の高いものは割愛し、塾のクラスで指定されたものを解きました。理科はご家庭での自習任せにしていたところ、物理・化学の計算問題(てこや浮力)で基礎が抜けてしまい、ほとんど勘で答案を埋めていることに気が付き、一時は理科だけの指導が続くこともありました。その際は、浮力ならば浮力の初出のテキストから解き直しました。
なかなか算数・理科の偏差値は振いませんでしたが、決定的に脱落することがないように食らいつく、というのが目標となりました。
6年生の冬あたりから、急に大人びて、勉強態度もポジティブになりました。加えて、これまでの苦労が何だったのだろうと思えるくらいに、理系の問題に対する理解が深まりました。それまでに個別に暗記していた内容が最後になってようやくつながり始めたという感覚でした。
稲毛国際の入試については、志願理由書にアドバイスし、記述問題の添削をしました。もともと国語力があるので、長い文を書くことに抵抗はなかったのですが、「老人に席を譲るかどうかは状況による」などといった哲学的・論理的すぎて、頭の硬い先生が採点したら減点されかねない内容になることがあったので、「小学生らしく」「シンプルで」「(つまらなくてよいから)誰にも減点のしようのない」文を書くように指導しました。
1月の千葉受験がふるわず、都内の頌栄にチャレンジし合格しました。最後の秀英の2次までトライして、合格をもぎとってくれました。SAPIX偏差値としては開きがあったのですが、受験間際の成長を見ていて可能性が十分にあると思っていました。
5~6年のテキスト・模試の問題がどんどん難しくなっていく時期に、苦手科目の成績を上げるというのはとても難しいものです。そこで諦めてしまうお子様(というよりご両親)が多いように思います。偏差値の低い子はどんどん塾をやめていきますし、誰もが必死で勉強しているのですから、普通にしていれば苦手科目の偏差値は下がっていきます。そこで「上がらないからやめる!」と見切りをつけたり、勉強を無理強いして生徒を潰してしまうのではなく、キープでもよい、あるいは下げ幅を抑えるよう無理のないギリギリの範囲で堪えていれば、最後に必ずチャンスが巡ってきます。
実際、SAPIXの6年生のテストやテキストは、最難関校を受ける生徒向けの問題が多く含まれています。そうした難問にとらわれて混乱するよりも、今いるクラスで指定されたものをしっかりやることが大切です。偏差値55くらいまでの学校であれば、基礎トレと通常テキストの標準レベル程度で十分なことが多いです。