今年の指導のまとめ②です。
僕は最難関校を受ける生徒ばかり教えていると思われることが多いのですが、実際は『塾に通っているのだけどなかなかクラスが上がらない生徒』を教えることが多いです。SAPIXなどで下のクラスが続き、塾の勉強はうまくいかなかったけれど、何とか納得できる形で中学受験を終えたいというご依頼です。
6年生の夏くらいまでは塾でのクラスを上げることが大きな目標なのですが、夏までに成績が上がらない場合、目標とする学校を絞り込んで集中的な対策をすることで、偏差値以上(といっても無理のない範囲)の学校を目指そうというものです。
せっかく塾で一生懸命やってきたのに受験のない公立に通うのも残念だし、かといっていわゆる難関校は現実的でないしといった場合には、本人とご両親で話し合って、良い着地点を見つける必要があります。現実を見据えた上で納得できる学校に進学できれば、中学受験後の勉強にも良い影響を与えます。『明らかに格上の志望校を受験して、ダメだったら受験のない近くの公立で高校受験』という玉砕戦法は、ある意味分かりやすいですが、大学受験を見据えた場合、あまりお勧めできません。そうした子が高校受験で逆転できる可能性はかなり低いからです。
ベイタウンで言えば第一志望が
- 市川(56)
- 東邦大東邦(55)
- 秀英(53)
- 渋幕(65)
という子が多いですね。カッコ内はSAPIX偏差値です。この4校は軒並み偏差値が高く、サピックスでも偏差値50程度はないと、可能性がかなり低くなります。
そしてこの4校が現実的でない生徒が目指す学校は
- 市立稲毛(48)
- 千葉大付属中(46)
が多いです。この2校に関しては、これまでも書いたことがあると思います。偏差値はかなり高めですが、受験の傾向が私立とは違うので、塾での偏差値が低くても、しっかり対策すれば合格がもらえる可能性があります。また授業料も安いので、その意味でもお得です。
少し離れてもよい、あるいはもともと家がそちらにある生徒であれば
- 成田中
- 江戸川取手(42)
- 専修大松戸(42)
- 芝浦工大柏(45)
といった学校も選択肢になります。都内まで通ってよい、引っ越しも視野に入れるとなると選択肢はもっと広がります。
今回は成田中に進学した生徒(B君)です。SAPIXで頑張っていたB君は、なかなかクラスが上がらず、SAPIXの提供する個別指導塾に行っても効果がなかったため、6年の秋になってご依頼を頂きました。
指導は過去問演習が中心になりました。直前期だったで根本的に学力を付けるというよりは、持っているものでいかに上手く戦うかというアプローチになりました。B君はもともと思考力があり、話がしっかりしている子でした。要は賢い子だったのですが、正直な所、『なんでこの子がSAPIXの下のクラスにいるのだろう』『もっと早く教えていれば秀英なども目指せたのに』と感じました。
SAPIXで下のクラスが続いたこともあり、自信を失っている様子も感じられたので、僕としては『大丈夫。しっかり考えて解けば合格できる』ということを伝えるのと、『その解き方や勉強のやり方は直さねばならない』と指導することのバランスに気を付けました。
成田中の問題傾向は、平易ではあるけれど出題者のクセが感じられるもので、慣れているかどうかで差が出ると感じました。例えば国語はかなり高齢の方が出題しているのではないかと感じられ、選ばれる文も古いもの、あるいは古い考え方に関するものが多いように思いました。そうしたものに慣れていないと全体に読み違えて大幅に失点してしまいます。
一通り過去問演習をした所で、受験本番になりました。時間がなかった上に、4教科見たので駆け足の指導になったのですが、問題なく合格できるとの感触でした。そして事実合格できました。
受験が早々に終わったので、現在は中学への橋渡しとして、英語や数学の勉強を教えています。塾の高度で長時間の授業から解放されて、リラックスしながら勉強できているようで、表情も明るくなりました。
受験をする前から僕は「大切なのは中学に入った後にどう勉強するかだよ」と口を酸っぱくして伝えていました。せっかく中学受験に意識を集中している子にこんなことを言うのは、いわゆる空気を読まない態度のようですが、中学受験というものの本質を見失ってしまっている生徒(とご両親)が多いように感じて、『受験前に』必ず伝えるようにしています。
「出身中学校は大人になったら関係ないんだよ」「大切なのは大学、あるいはどんな仕事をしてきたかだよ」「良い中学に入っても勉強しなければ意味がないし、実際開成に入ったってゲームにハマってちゃんとした大学に行けない子もいるんだよ」「(僕のように)中学受験してなくても東大にだっていけるんだよ」というと、子供は「そうなの!?」と驚きます。
もちろん生徒は中学受験の位置付けを本当に理解することはできません。だからこそ大人がトータルに考えて、その子の人生にとって後悔のない中学受験となるよう導いてあげる必要があると思います。最大限頑張るのは当然ですが、この記事で述べたような玉砕戦法が適切でないと思うのは、そうした理由からです。
レベルのあっていない塾で勉強をして、偏差値が上の学校ばかりを受けて全滅すれば、当然『勉強は辛くて難しいもの』という印象が染み付いてしまいますし、嫌いになります。中学受験から解放されれば勉強しなくなり、高校受験期になる前にドロップアウトしてしまいます。
中学受験というのは、『勉強は一つひとつ積み重ねれば難しくない』『勉強はそれほど辛いものでなくやりがいがある』と肌で感じ、自分から勉強する習慣を付けるためにあるのではないでしょうか。その延長線上に難関校があるのであって、もちろん塾に入り、苦労なく上のクラスでやっていければ、そんなことを考える必要もありませんが、塾でいまいちクラスが上がらないと焦っている場合こそ、中学受験の意義を親子でよく話し合って頂きたいと思います。
そして難関校を諦めたくない場合は早めにご依頼ください。都内の生徒に比べ、千葉の生徒はのんびりしています。都内の生徒の方が早くから鍛えられているために、1月の千葉受験でも合格枠を取られてしまっているように感じます。せっかく才能があるのに勉強に本腰を入れるのが遅かったり、「そこまでやる必要あるの?」とご両親にもどこか甘い考えがあって、やり込みが足りなかったりします。無理のない受験は良くないと言ったばかりですが、ギリギリまで全力で勉強することが大切なのはいうまでもありません。そうでなければ中学受験でも大学受験でも難関校に受かるはずはありません。
いわゆる塾の偏差値は基本的に6年生の早い時期まででないと改善しません。夏以降は過去問演習などで『持っている力でいかに戦うかを練習する』時期です。根本的な基礎学力から練り上げたいのであれば、どの塾であれ、どの教科であれ、偏差値が50をきってきた段階で対策を練らないと、いわゆる千葉BIG4『市川(56)、東邦大東邦(55)、秀英(53)、渋幕(65)』に届かなくなります。「もう少し様子をみよう」「本人の努力で改善しよう」と言って、ドラスティックな変革をしないままズルズル先延ばしになり、直前期に困り果ててご依頼を頂くということが多いです。その時期には優秀な家庭教師は枠(特に塾にのない月水金)が埋まってしまっており、対応できなくなります。今年の冬も相当数の生徒を断りました。
新学年を迎えるにあたり、勉強を見直す必要があると感じている方は、一度無料の体験授業を受けてみてください。
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