2019年の受験生報告④ (市立稲毛に合格)

遅れに遅れましたが、2019年の受験生報告の第4弾です。この生徒(D君とします)は、市立稲毛中学校に合格しました。

ちなみに千葉県の公立の中高一貫校は

  • 県立千葉(69)
  • 県立東葛飾(64)
  • 千葉大付属(60)
  • 市立稲毛(59)

の4つと言って良いと思います。カッコ内は偏差値ですが、昭和秀英中学の偏差値が同じサイトで63となっていましたので、おおよその難易度が分かると思います。

ベイタウンで一番人気のある公立中高一貫校が、距離の近い市立稲毛です。稲毛海浜公園・花の美術館の向かいで、海沿いに稲毛海岸の方に歩いていけば、ベイタウン内からも30分ほどで到着できます。

千葉の私立中学の四天王である秀英・市川・東邦大東邦・渋幕(僕が勝手に命名)の難易度がかなり高く、都内の市立中学は通学が大変という中で、市立稲毛は偏差値的にも狙い目の学校と言えると思います。

何よりも、市立稲毛中・高は、英語教育に定評があり、生徒の成績を伸ばすことに情熱がある学校なので、大学受験を見据えても、よい選択肢になると思います。

  • 市立稲毛高校の大学進学実績:

http://www.inage-h.ed.jp/shinro/goukaku2019.pdf

こちらを見ると、東大合格者こそいないものの、千葉大や早稲田/慶応/上智/明治など、人気大学に数多くの合格者を出していることが分かります。とくに上智への強さが際立っていて、これも英語教育に力を入れている成果かと思います。

一方で、それほど難関とはいえない大学への進学者も多く、市立稲毛に入学しても、モチベーションを保ち、校内でトップクラスの学力を維持しないと、難関大学への合格は厳しいということも分かります。

ともあれ、市立稲毛はベイタウン内で人気のある志望校であり、相応の実力を備えた素晴らしい学校と言えると思います。

稲毛中学の話が長くなりましたが、僕の生徒(D君)は記述力がとても高い優秀な生徒でした。小さな時からバリバリ勉強していたという感じではなく、スポーツを楽しみながら、学習能力の高さから自然な流れで中学受験することになった、という印象でした。

ベイタウンで稲毛中を受験するとなると、塾は市進や京葉学院が選択肢になります。公立の中高一貫校の問題はかなり特殊で、また各学校ごとに特色があるので、SAPIXなどの難関私立向けの塾では対策が難しくなります。難関私立向けの塾で下位の生徒が、偏差値が比較的低いからと言って、稲毛に浮気をすると痛い目に合うと思います。

僕が依頼を受けたのは、「私立稲毛中を受験したいけどどうしたらいいの?」「今のままで合格できるの?」「塾や個別指導にはどのくらい通うのがいいの?」といった漠然とした不安が、ご両親にあったからだと思っています。

D君本人は、かなり自立した生徒で、稲毛を受験すると決めた時から自分なりに勉強していたのですが、僕から見ると、どことなく行き詰まっている様子でした。公立中高一貫の勉強は

  • 参考書(過去問)が少ない
  • ほとんどの参考書(過去問)の解説・解答・採点基準がしっかりしていない
  • 記述問題が多いため、採点が難しく、現状の実力が把握しにくい
  • 一問ずつが重い(難しい・長い・記述が多い)ために、塾の質問教室やいいかげんな個別指導では疑問点を解決しにくい
  • 難関私立受験のように、塾のカリキュラムに沿って知識を積み上げていけば合格できるという種類のものではない

という所が難しい所です。

要するに、良くも悪くも大規模な受験ビジネスの枠外にあるんですね。

幸いにもD君は記述力が飛び抜けていました。ただし、大手塾でバリバリやっている子に比べると、算数の解法のストックが少なく、練習量も不足していました。理科・社会の単純知識も不足していました。全てをやり直している時間はなかったので、比較的出題されやすく、D君が苦手としていた図形の問題などを、一般的な参考書でフォローしました。

その後、過去問演習に入りました。市立稲毛の過去問は事前にある程度やっていてくれたのですが、上記のように、一人では完璧に進めることが難しいので、D君が疑問に思ってる所を一緒にやり直しました。市販されている過去問より古いものを1年分僕が所持していたので、そちらは新たに解きました。

その後、全国の公立中高一貫校の過去問が収録されている問題集に取り組みました。こちらの問題集は、いろいろな問題が多数収録されているのは良かったのですが、分厚い問題に対して、解答冊子が数ページというお粗末なもので、解答は間違っているし、解説は何もないし、解答が複数ある場合は堂々と(別解は省略)と書かれているようなものでした。みくに出版のいわゆる銀本もそうですが、それが悪いと言うのではなく、多くの問題を網羅することを第一とした本なんですね。

D君は「僕は曖昧なまま済ませる性分じゃない」と自分で言うほど、知的に成熟した生徒で、何がなんでも理解しようとしてくれました。結果的に、解説のないあの問題集を苦労して読み解くことが、力になったと思います。

稲毛の願書に書く自己アピール欄も、僕が添削する必要がないほど、しっかり書けました。受験に必要な三角定規について書いてあるページがサイトで見つけにくく、結局いるのか・いらないのかなどと2人で議論したこともありました。

そうこうしているうちに受験日がやってきました。D君は問題なく合格できましたが、以下の倍率などを見ると、優秀な子でもなかなか合格できない難関校であることは間違いありません。男女で7倍という高倍率な上、上述の通り、市立中学と受験傾向が全く違うことから、大手の塾内模試で偏差値が高くても、全く安心できません。受験当日の調子などで合格が左右されやすい学校でもあると思います。

  • 市立稲毛中学の受験倍率

http://www.city.chiba.jp/kyoiku/gakkokyoiku/kyoikushido/documents/31inagefuzokujyukensyabairitu.pdf

今後もベイタウン内での市立稲毛人気は続くと思います。その一方、それをサポートする体制は不足しているように感じています。

  • 何をしてよいか分からない
  • 過去問演習が思うように進まない
  • 採点基準が分からない
  • 願書の書き方が不安
  • 疑問点が解消できない
  • 参考書の選び方が分からない
  • 記述力がない

などという場合は、info@baytown-tutor.comまで遠慮なくご連絡ください。無料の体験授業で、方向性だけでもご相談にのります。

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Comment (1)

  • 2020年の指導状況 | Baytown Tutor| 2020年8月6日

    […] 公立中の勉強法について詳しくはこちら→私立稲毛に合格した指導例 […]

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