2020年の指導例③ SAPIX→市川・東邦大東邦→慶應中等部(2021年受験)

今年度は受験生の生徒が多かったのですが、やっと落ち着きました。今回は3人目の生徒の報告をします。C君とします。

C君は都内の生徒だったのですが、比較的教えに行きやすい地域であったこともあり、オンライン授業を組み合わせて指導しました。結論から言うと、慶應中等部に進学しました。本格的に受験勉強を始めるのが遅く、また慶應への憧れが強く、正直な所かなり苦労した指導でした。

最初は受験自体するつもりがなかったのですが、5年の夏に受験を決めたそうです。SAPIXの入塾テストを受けた所、不合格となり、僕が指導に行くことになりました。相談の結果、やはり難関校を目指す上でSAPIXの優位性は揺るぎないため、他塾に入って勉強しつつ、SAPIXの入塾テスト対策も行うということになりました。当面は他塾の内容はご家庭でこなし、SAPIXの対策を僕としました。SAPIXのテキストや問題を僕が持参して、一緒に解くようなスタイルでした。

もともと勉強をしてなかっただけで、頭の良い生徒だったので、6年になるまでにSAPIXに入塾できました。とはいえ、慶應を目指せるレベルでは全くありませんでした。特に社会に対する拒否反応が強く、全く勉強する気が起きないという状態でした。勉強を始めるのが遅かったので、他の生徒が知っている内容が蓄積されていませんでした。地理などは塾の授業が完全に終わっており、他の生徒が1年かけて勉強した内容を、一人でこなさねばならない焦りがプレッシャーになっていたようです。

僕とは週一回の授業だったので、それまでの算数・理科中心の授業をやめて、社会だけをやることにしました。これに関してもご両親と相談を重ねたのですが、どうしても『算数が大切』『得意教科を伸ばすべき』という意識が強く、僕との勉強時間を社会に集中することに抵抗があったようです。ですが、中学受験において『苦手強化を捨てるという選択肢はない』とお伝えしました。

慶應に関しては合格点が高いこともあり、苦手強化で補うことはほとんど不可能なんですね。たとえば算数の合格点が70点だとすると、いかに得意教科でも90点取れる生徒はほとんどいません。事実C君も得意だと思っている算数が、実際に模試や過去問で合格点よりも5~10点上という状態でした。それに対して、苦手教科の社会は配点が低いとはいえ、合格点に10点以上及ばないということもしばしばありました。

また『苦手教科を捨てる』ということが戦略ではなく、本人もご両親も『苦手教科をやりたくない(やらせたくない)から』という理由であることが多いことが問題です。教育的に正しいかどうかはともかく、勉強というのは『できないことをできなくすること』です。苦手なものに時間をかけるのが、王道の戦略です。

得意教科は自分でもストレスなく勉強できるということもあり、僕とは『社会だけ』と決めました。『他の教科もあり』にすると、どうしても好きな教科を持ち出して『ここがわからない』『ここを教えてほしい』となってしまうので、そこは徹底しました。

直前期には国語もやったり、地理を捨ててまた戻ったりと、紆余曲折があったのですが、受験を始めるのが遅い生徒らしく、ラストスパートがききました。算数が得意だったこともあり、市川と東邦大東邦に合格した上で、慶應3校を受け、最終的に中等部のみ合格できました。苦手教科を潰す話と矛盾するようですが、理系教科が得意だと市川・東邦大東邦にかなり有利で、1月に合格をもらっていたことで、その後の受験が楽になりました。

僕も毎年生徒を教えていて、さまざまな発見があるのですが、『苦手でも隣にピッタリついて1から教えればできるようになる』『どの教科をどれだけ勉強するかが大切(特に苦手教科)』『塾は3~4年からが良い』ということを再確認しました。

 

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