今日(2022年1月20日)は市川の入試です。今、海浜幕張駅近くのスターバックスにいますが、お子様を幕張メッセまで送り試験終了まで時間を潰しているであろうお母様方でいっぱいです。いつもはガラガラでゆっくり仕事ができるのですが・・・
待っている間、受験雑誌を読んでいる方、何かノートにまとめておられる方、受験関連の書類を書いている方、スマホを見ているだけの方と色々ですね。皆さん心の中は心配でいっぱいだと思います。
僕も市川を受験する生徒を指導しているので、合格発表まで落ち着かない気持ちです。ここ数週間、市川の過去問対策を集中的に行なっていたのですが、やはり市川は面白い学校ですね。以下の問題(2021年第1回算数5⃞)を見てください。
一見して決まりきった定型の問題でないことが分かります。これなどは文章をよく読んで1つ1つ検証していけば解けますね。解くのに時間がかかりすぎますが、まあよい問題でしょう。
次の問題(2021年第1回算数2⃞)などはかなりまずいです。
明らかに難しすぎですね。しかも2⃞なので、ここで引っ掛かってしまうと、後ろの問題が解けずに大変な目にあいます。生徒に対しては、こうした問題はとばすように言いましたが、『これはヤバい問題だ』と気付くには、まずある程度の実力やコツが必要になります。直前期は僕の目の前で過去問を解いてもらうことが多いのですが、時間配分やとばす問題などの指導も重要な要素になります。
ちなみに市川の2021年の第1回算数は受験者平均点が32.9点でした。これはいけません。平均点が低いと一問の重みが大きくなりすぎて、運の要素が高まり、受験者の実力を上手く測ることができなくなります。大学受験の共通試験の数学が難しすぎたことが問題になっていますが、平均点は60~70点前後でないと良くないのは勉強を教えていれば、当然分かるはずのことなのですが、市川の先生方は経験が浅いのか、テストを受ける生徒のレベルが分かっていないのかどちらかですね。これは共通テストを作った先生も同様です。これはさすがに反省したでしょうから、今年の市川の算数と、来年の共通テストの数学は易化するでしょう。
ただ僕はこういった問題から、市川の先生達の気合いを感じています。決まりきった問題、塾のテキストを読んで作ったんじゃないのか?と疑われるような問題、外部の業者に委託したような問題を出題する学校が多い中、市川の先生達は明らかに頭を捻って、工夫して問題を作っています。解いていて先生達の勢いやメッセージ性が伝わってきますし、算数の面白さが感じられます。
こうした問題に対応するためには、4,5年から思考力・応用問題にチャレンジする癖がついていないと難しいですね。SAPIXで言うならば、塾で教わった解法を使って★1、★2レベルのみを解いているようでは、市川の問題は解けるようにならないです。面倒でも【頭脳トレーニング】や【入試問題に挑戦】にチャレンジしてみないといけませんね。解法を覚えて適用するだけの勉強ではダメだということです。
一方で、東邦大東邦は本当にスタンダードな問題で、完成度は高いですが面白味にかけますし、決まった解法を高いレベルで使いこなせれば得点できるイメージです。秀英は読解重視にシフトし過ぎている気がしますが、作問の努力・工夫は感じられます。もちろん渋幕は総合的にレベルが高いです。
こうした学校の過去問演習をしている中で、今年の生徒が「市川の問題は面白いし自分に合っている。市川・東邦大東邦・秀英のどこでもよいと思っていたが、市川が良いと思うようになった」と言っていました。このように感じさせる問題はやはり素晴らしいと思いますし、受験問題から学校からのメッセージを感じられるくらい勉強が進んでいるのだと感心しました。
僕自身、東大の過去問と早慶の過去問に取り組んでいた時期、問題を作成している人の知的レベルに歴然たる差を感じ、どうしても東大に行きたいと思うようになりました。入試問題というのは、単に生徒のレベルを測るだけのものではないんですね。多くの生徒が過去問で勉強するのですから、そうした生徒に対するメッセージになるわけです。特に上位校の入試問題やほぼ全員が受ける共通テストのような問題は、その後の受験や教育そのものを決定付けるほどのインパクトがあります。
いずれにしてもここからの3日間、受験が続く生徒が多いと思いますが、無理なく頑張ってもらいたいです。家では頭を酷使するような問題は解かず、暗記もののチェックをして、ゆっくり休むのがよいと思います。