東邦大東邦推薦の算数2023年度入試の解答

東邦大東邦の推薦入試がありました。僕の生徒では1人の合格者が出ました。例年通り倍率が高く、なかなか厳しい入試でした。国語の難易度が高く(答えのはっきりしない・本質的でない問題も多く)、国語に振り回された入試になったように思いました。

理科と算数については、全部解くくらいの気持ちが必要になりますね。特に算数は問題の意図が分からないということも少ないので、圧倒的な実力があれば運に左右されにくいです。

既に解答をアップしているサイトもあるかもしれませんが、以下に解答を載せておきます。難易度を易<普通<やや難<難で示しておきます。[易]と[普通]を解ければよいと思って下さい。

1⃞(1)5分の2、(2)4分の3、(3)4.1

2⃞(1)42.6km、(2)18g、(3)180円、(4)0.5点国語が高い

3⃞(1)1520m、(2)80m/分、(3)12分40秒

4⃞(1)10.8cm、(2)2と4分の1

5⃞(1)6:1(2)16:9(3)49:31

6⃞(1)1640通り[易] (2)4026[易] (3)36通り[やや難]

 

 

東邦大東邦の公式サイトより、推薦の受験結果も載せておきます。

市川中2022年の過去問(算数)

問題はこちらにあります。
解答はこちらにあります。
市川中の公式入試情報ページはこちら。

2022年受験の平均点

算数の平均点は55でした。2021年が難しすぎたので予想通り、揺り戻しがありましたが、平均点を上げすぎなかったのはさすがでした。

 

5⃞の解説

2022年の市川の算数が、2021年よりも易化したとはいえ、この問題はかなり手応えのあるものになっています。ただし理不尽な問題ではなく、「とにかくやってみる」という、一番大切な能力を正しく問う良問になっています。

(1) 難易度1。『超かんたん』。合格するためには必ず解かねばならない問題。問題のルールを理解して、やってみるだけなので、小学校3年生くらいでもできる。時間を使い果たして、この問題を解けないのはあまりにももったいない。

(2) 難易度3。『難しい』。(1)がとても簡単で、(3)がとても難しいために、この(2)で合否が分かれる。一見して100まで試すことはできないと分かるので、何かしらの法則を見つけないといけない。(1)を解くときに、(2)の導入になっていることを意識していることが大切。1の位に注目すれば、1の位が1~9,0の10通りを試せば良いとわかる。その10通りを試していくときも、できるだけシンプルにきれいに仕上げることでミスを減らすことができる。

(3) 難易度5。『超きつい』。2022年度の市川の算数で最も難しい問題。算数が得意な生徒向け。よほど自信がなければ、他の問題に時間を割いた方が良い。

(1)

(2)

(3)

市川入試2022年

今日(2022年1月20日)は市川の入試です。今、海浜幕張駅近くのスターバックスにいますが、お子様を幕張メッセまで送り試験終了まで時間を潰しているであろうお母様方でいっぱいです。いつもはガラガラでゆっくり仕事ができるのですが・・・

待っている間、受験雑誌を読んでいる方、何かノートにまとめておられる方、受験関連の書類を書いている方、スマホを見ているだけの方と色々ですね。皆さん心の中は心配でいっぱいだと思います。

僕も市川を受験する生徒を指導しているので、合格発表まで落ち着かない気持ちです。ここ数週間、市川の過去問対策を集中的に行なっていたのですが、やはり市川は面白い学校ですね。以下の問題(2021年第1回算数5⃞)を見てください。

一見して決まりきった定型の問題でないことが分かります。これなどは文章をよく読んで1つ1つ検証していけば解けますね。解くのに時間がかかりすぎますが、まあよい問題でしょう。

次の問題(2021年第1回算数2⃞)などはかなりまずいです。

明らかに難しすぎですね。しかも2⃞なので、ここで引っ掛かってしまうと、後ろの問題が解けずに大変な目にあいます。生徒に対しては、こうした問題はとばすように言いましたが、『これはヤバい問題だ』と気付くには、まずある程度の実力やコツが必要になります。直前期は僕の目の前で過去問を解いてもらうことが多いのですが、時間配分やとばす問題などの指導も重要な要素になります。

ちなみに市川の2021年の第1回算数は受験者平均点が32.9点でした。これはいけません。平均点が低いと一問の重みが大きくなりすぎて、運の要素が高まり、受験者の実力を上手く測ることができなくなります。大学受験の共通試験の数学が難しすぎたことが問題になっていますが、平均点は60~70点前後でないと良くないのは勉強を教えていれば、当然分かるはずのことなのですが、市川の先生方は経験が浅いのか、テストを受ける生徒のレベルが分かっていないのかどちらかですね。これは共通テストを作った先生も同様です。これはさすがに反省したでしょうから、今年の市川の算数と、来年の共通テストの数学は易化するでしょう。

ただ僕はこういった問題から、市川の先生達の気合いを感じています。決まりきった問題、塾のテキストを読んで作ったんじゃないのか?と疑われるような問題、外部の業者に委託したような問題を出題する学校が多い中、市川の先生達は明らかに頭を捻って、工夫して問題を作っています。解いていて先生達の勢いやメッセージ性が伝わってきますし、算数の面白さが感じられます。

こうした問題に対応するためには、4,5年から思考力・応用問題にチャレンジする癖がついていないと難しいですね。SAPIXで言うならば、塾で教わった解法を使って★1、★2レベルのみを解いているようでは、市川の問題は解けるようにならないです。面倒でも【頭脳トレーニング】や【入試問題に挑戦】にチャレンジしてみないといけませんね。解法を覚えて適用するだけの勉強ではダメだということです。

一方で、東邦大東邦は本当にスタンダードな問題で、完成度は高いですが面白味にかけますし、決まった解法を高いレベルで使いこなせれば得点できるイメージです。秀英は読解重視にシフトし過ぎている気がしますが、作問の努力・工夫は感じられます。もちろん渋幕は総合的にレベルが高いです。

こうした学校の過去問演習をしている中で、今年の生徒が「市川の問題は面白いし自分に合っている。市川・東邦大東邦・秀英のどこでもよいと思っていたが、市川が良いと思うようになった」と言っていました。このように感じさせる問題はやはり素晴らしいと思いますし、受験問題から学校からのメッセージを感じられるくらい勉強が進んでいるのだと感心しました。

僕自身、東大の過去問と早慶の過去問に取り組んでいた時期、問題を作成している人の知的レベルに歴然たる差を感じ、どうしても東大に行きたいと思うようになりました。入試問題というのは、単に生徒のレベルを測るだけのものではないんですね。多くの生徒が過去問で勉強するのですから、そうした生徒に対するメッセージになるわけです。特に上位校の入試問題やほぼ全員が受ける共通テストのような問題は、その後の受験や教育そのものを決定付けるほどのインパクトがあります。

いずれにしてもここからの3日間、受験が続く生徒が多いと思いますが、無理なく頑張ってもらいたいです。家では頭を酷使するような問題は解かず、暗記もののチェックをして、ゆっくり休むのがよいと思います。

 

 

指導例:2022年度中学入試:東邦大東邦推薦入試合格

A君は5年生の終わりに指導の依頼を受けた生徒でした。以後1年ほどの指導で東邦大東邦の推薦入試に合格し、2022年度の入試(入試自体は2021年12月)の合格者第一号になりました。

2020年にコロナの影響で塾の授業がオンラインになり、毎回の小テスト類が行われなくなる中で、A君はペースを大きく崩したそうです。その間の半年分の知識がスッポリ抜け落ちた状態で、6年生になりました。偏差値も40台前半に落ちていました。平常授業に戻った塾に復帰し、勉強を軌道に乗せ、満足のいく中学に合格したいというご希望で僕に依頼を頂きました。

A君は理数系が苦手だったので、最初は算数を指導しました。塾の成績は3歩進んで2歩戻るといった感じではありましたが、夏に算数の偏差値が50くらいに落ち着いたので、以降は理科を中心に指導しました。

直前1~2ヶ月は東邦大東邦の過去問を解きました。過去問演習では一度も合格点に到達できなかったのですが、僕は合格の可能性を感じていました。A君は自分で考える力を持った生徒だったので、知識や演習量で決まる問題ではなく、読解力や思考力が問われる問題が多く出題されれば、逆転できると思っていました。

実際に今年(2021年12月)の入試は例年よりも合格点が高い、難し目の問題であったため、A君に有利に働きました。東邦大東邦の推薦入試に失敗する可能性を踏まえて、東邦大東邦の前期の過去問(推薦入試より難しい問題)演習をしていたことも、奏効しました。

結果的にA君の能力が元々高かったために合格をもらえたのですが、入試に必要な知識のうち相当な量が抜け落ちていたために苦労しました。一般的に半年分の知識が抜けていると、取り返すのはほとんど不可能に近いです。半年分を1年で取り戻すのは1.5倍の勉強量が必要ですが、受験生は誰もが限界まで勉強しているために、1.5倍の勉強量は数字以上の難しさがあります。勉強量が増えれば集中力も落ちますし、そもそも足りない知識で6年生の塾の授業を受けることで、5年の復習どころか6年の授業についていけなくなる場合が多いです。

ご両親がお忙しく、平日は自分で勉強しなければいけなかったため、家庭学習のマネージメントに苦戦しているようでしたが、A君は塾の宿題は絶対に提出するというこだわりがあったために、1人でもある程度のクオリティで勉強できました。一方、塾の宿題以外は勉強したがらないという弱点があり、自分の苦手な範囲を工夫して勉強するという姿勢に欠けていました。勉強内容の理解というよりも「宿題を提出すればオッケー!」「塾のクラスを上げたい」などという気持ちが先に立っていたんですね。直前期には「塾の成績とか、塾の宿題はもう気にしなくていいから、受験で出そうな問題と苦手な問題を解けるようになりなさい!」と繰り返し指導していました。

偏差値的にも足りず、過去問演習でも合格点に達しなかった中で、綱渡りの受験となりました。推薦で不合格であれば、一般入試の市川・秀英・東邦大東邦も苦戦したと思われます。一方で稲毛は過去問演習でも合格点を取れていました。

いずれにしても、依頼をお受けした時から、ベイタウン私立4天王(と僕が勝手に呼んでいる)の市川・秀英・東邦大東邦・渋幕のどこかに入学できれば躍進だと考えていたので、本人もそうした方向に納得し、最短で合格できたのはとてもよかったです。1年ほどの指導中には様々な四苦八苦・試行錯誤があったのですが、終わってみればこれ以上ない流れで指導できたのではないかと満足しています。

東邦大東邦の推薦入試について(令和4年・2022年度)

  • 今年(2021年12月1日実施)の東邦大東邦の推薦入試が終わりました。僕の生徒が受験し合格しました!今年は問題が難化し、例年200点以上の合格者最低点が173点だったとのことです。

 

【目次】

  1. 東邦大東邦の推薦入試の基本情報
  2. 推薦入試とは
  3. 倍率と合格者最低点について
  4. 受験勉強の方針
  5. 2018年度の算数の分析

 

【東邦大東邦の推薦入試の基本情報】

学校公式サイトの入試情報はこちら

  • 募集人数は40人→男女別の人数は定めていない
  • 合格した者は必ず入学しなければならない→実際には保護者の転勤・離婚・死亡などのやむを得ない事情であれば辞退が許される
  • 入試日は12/1(水)
  • 合格発表はサイト内で翌日12/2(木)10:00~
  • 入学手続きは12/2(木)10:00~12/3(金)15:00
  • 国100点、算100点、理50点、社50点

 

【推薦入試とは】

推薦入試といっても、小学校から推薦してもらうというではありません。『自己推薦』です。そのために以下のような自己推薦書の提出が求められます。

もちろん丁寧に書いて出す必要はありますが、『推薦入試』という名前を付けるための建前です。試験の合格者最低点を発表しているくらいですから、実際には試験で決まるでしょう。

東邦大東邦の推薦入試とは、『合格したら必ず入学してもらいますよ』『その代わり普通に前期試験・後期試験を受けるよりは少し合格しやすくなりますよ』というものです。

 

【倍率と合格者最低点について】

以下は公式サイトに記載されているものです。

年度 男子 女子 倍率 合格者最低点
2021 19 21 18.20 203点
2020 18 12 24.90 206点
2019 19 11 19.37 223点
2018 18 12 19.63 230点
2017 19 11 21.17 213点
  • 2021年から募集が40人になって、少し入りやすくなった
  • 2020年までは男女別の合格者数に何らかの意図が働いていたものと思えるが、今後はそういったことはなさそう
  • 300点満点の200~230点の合格者最低点はかなり高い67%~77%
  • 倍率20倍はかなり高い

この情報だけ見ると、絶望的な難しさだと感じるかもしれません。ですが、こうした表面的な数字だけで入試を考えてはいけません。大切なのは実際の過去問に取り組んでみて、その難易度と傾向を体感することです。

実際に解いてみると、かなり簡単な問題です。同じ東邦大東邦の前期試験の問題や、市川の問題に比べると圧倒的に解きやすく、時間が足りないわけでもありません。

つまり合格者最低点が高いのは問題が簡単だからで、倍率が高いのは前期に東邦大東邦を受ければ合格できであろう生徒達が受験するからです。

言うまでもなく、東邦大東邦の推薦入試は、合格しなければ入学しなければならないというものですから、東邦大東邦よりも難しい学校に合格できる可能性のある生徒は基本的に受けません。例えば渋幕が第一志望の生徒は東邦大東邦の推薦入試は受けないのですが、東邦大東邦の前期試験は渋幕が第一志望の生徒や都内の難関校を受ける生徒が多くの合格枠を攫っていくことになります。市川や秀英が第一志望の生徒も、とりあえず東邦大東邦を受けるでしょう。

ですから、東邦大東邦の前期試験と推薦入試は、受験者層が全く違うので、倍率が高くても恐れる必要はありません。ただし、受験者平均点は無視しなくてはなりません。受験者平均点よりも合格者最低点の方が遥かに高いので、受験者の中の平均点を取ったからといって喜んでいては合格できません。

 

【受験勉強の方針】

簡単な問題で、時間制限も厳しくないので、ミスをしないことが第一になります。また基礎的な知識や解法をしっかり身に付けていることが必要になります。

また東邦大東邦入試のメインである前期試験は、SAPIX偏差値で55になっています。推薦(合格したら入学しなくてはならない)という縛りで有利になるとはいえ、それまで塾でしっかり勉強していない生徒は合格できません。SAPIX偏差値でいうと50程度、他塾では55~60程度の偏差値は必要でしょう。また塾に通っていない生徒、あるいは家庭で中学受験の対策をしていない生徒が偶然受かることはありません。

また東邦大東邦の前期試験は4教科とも100点満点であるのに対し、推薦入試は国算100点・理社50点ずつなので、理社が苦手な人には少し有利になります。ただし、前述の通り合格者最低点が高い(67%~77%)ですので、苦手な科目を捨てて、得意な科目を頑張るという勉強法は通用しません。例えば、合格者最低点が70%だとして、算数で50点を取ってしまうと、国語で取り返すならば90点取らねばならなくなります。とにかく基本を大事に、苦手をなくすことが大切です。

ほとんどの生徒にとって最初の受験になります。また塾で定期的に行われるテストよりも取らねばならない点数が高いです。また推薦入試の過去問が数回分しか手に入りません。以上のことから、過去問演習は緊張感を持って、大切に行わねばなりません。僕の生徒には見ている前で解いてもらいますが、難しい問題で頑張り過ぎて時間が足りなくなったり、7割以上得点しなくてはならないという感覚が掴めず、全問題をとりあえず埋めただけで手応えを感じてしまい合格点に届かないということがあります。

塾での平常授業を大切にして、基礎学力を付けておくことが前提ですが、直前期の過去問演習によって得点のコツ・感覚を掴んでおくことがとても大切になります。

 

【2018年度の算数の分析】

1⃞はシンプルな計算問題・・・間違えると痛手になります。

2⃞は小問集合。(3)は紛らわしい悪問。5人の生徒がいて5人全員がそうじ当番となるとき、日本語として『選ぶ』とは言えない。理数系偏重の東邦大東邦の知性の限界を感じてしまう問題。『1~4人をそうじ当番にする』という問題にすれば済むのに、誰もチェックしないというのは、問題作成体制にも問題あり。その他の問題は、中学受験用の塾で頻出の定番問題。

3⃞約束算。(1)は簡単で必ず解けなければならない。(2)はやや難。aの方が小さい場合と、aの方が大きい場合の2通りについて考えねばならない。やや難しいが合格点を取るためにはクリアしなければならない問題。

4⃞食塩水。同量を移す問題は塾で必ず習う問。(1)は簡単で必ず解けなければならない。(2)はやや難。定番問題ではあるが、きれいな数字にならないので意外と苦戦するかも。以下解説。

5⃞平面図形。それほど難しくないので、全問正解したい所。ここで全問正解しておかないと、70%得点するのが難しくなる。以下解説。

 

指導例:2021年①:中学3年生(高校受験)

去年は受験生が多かったのですが、今年は中学受験1人、高校受験1人の2人だけになっています。残りの生徒は、学校や塾の授業のフォローです。この記事では高校受験生の木村君(仮名)の指導状況について書きます。

木村君は、元々中学受験の直前にご依頼を頂いた生徒だったのですが、中学受験向けの塾の勉強が上手くこなせていませんでした。ご両親が「これを解いておきなさい」と提示した問題を機械的に解くだけになっていて、自主性が全くなく、考えて解くことをしていませんでした。そのために同じ問題を何度も間違えたり、少しひねった問題になると対応できませんでした。勉強に対するやる気・熱意は感じられず、ゲーム・アニメ・動画以外には無気力でした。

ご両親もそうした状況を理解されており、「手応えのある勉強」「自主的な勉強」「考える勉強」に軌道修正したいとの思いから、僕に依頼をして頂きました。時間がなかったこともあり、中学受験向けの勉強はせず、最初は「理解しないまま問題を解かないで!」と言い続けていました。

中学受験前の6年生の2月から、僕との授業時間には英語に注力しました。中学以降の勉強では圧倒的に英語が重要です。大学受験では文系でも理系でも英語は避けられないですし、英語は一度苦手意識を持つとずっと引きずってしまうからです。数学に関しては、代数の勉強を中心にしました。中1の幾何は中学受験以上の内容はあまり出てこないからです。

中学1,2年にはやる気の落ちた時期もあったのですが、現在中学3年生になって受験が近付くと、見違えるように自分から勉強してくれるようになりました。ベイタウンでは周りの友人のレベルが比較的高いということもあり、自然と意識が高まります。もちろん勉強しない生徒達に引っ張られて、悪い影響を受けてしまう子もいるのですが。

木村君は、最近「なぜ僕は中学受験の時にもっとやる気を出さなかったのだろう」「あの頃はやらされていただけだった」と言うようになりました。それに気付いただけでも中学受験をした価値があったのかなと考えています。高校受験が近付くこの時期には、学校のテストや塾のテストや外部模試などが連続して、それぞれの出題範囲や重要度が異なることもあり、何から手をつけてよいか分からなくなりがちなのですが、木村君は自分なりの基準で優先順位を付けて、出来ないことには折り合いを付けて、落ち着いて取り組んでいます。もちろん誰しも苦手な教科や範囲にはなかなか手を付けられないものなので、そうした所を僕が指摘しながら進めています。

現在、僕との授業では英語と数学を中心に勉強しています。本人が申し出て、理科や国文法や、時には学校の音楽や情報処理などを教えることもあります。塾での成績も上がってきて、それがやる気につながっているようです。よい循環ですね。

僕も20年以上家庭教師をしてきて、やはり勉強は「長期的視野に立った勉強習慣」に尽きると感じるようになりました。勉強習慣はつまり生活習慣でもあります。家庭教師は当然短期的な結果を求められるものでもありますが、僕が携わることによって、勉強習慣や学問的な態度が改善されるのを見るのは嬉しいです。

千葉近辺の難関中学入試日程のまとめ (2022年度・令和4年)

  • 幕張ベイタウン・千葉市周辺で受験する生徒の多い中学の日程をまとめました。私立四天王の渋幕・市川・東邦大東邦・秀英に加え、人気の高い公立2校になります。
  • 当ページをまとめた時点(9/3)で2022年の入試情報がない学校は、前回入試の情報になっています。
  • 正しい情報は必ず公式サイトで確認してください。
  • 各学校の偏差値はSAPIX発表のものです。

 

各学校の試験日まとめ

  • 青字は各学校のメインの受験日になります。
12/1 東邦大東邦(推薦:40名)
12/11 稲毛(1次)
1/20 市川(第1回:280名) 秀英(午後特別:30名)
1/21 東邦大東邦(前期:240名) 千葉大附属
1/22 渋幕(1次:215名) 秀英(1回:110名)
1/24 稲毛(2次)
2/2 渋幕(2次:45名) 秀英(2回:20名)
2/3 東邦大東邦(後期:20名)
2/4 市川(2次:40名)

 

渋谷幕張中学校 (偏差値:64)

出願期間 試験日 合格発表日 手続締切日 受験科目
1次(215名) 12/15~1/10 1/22 1/24 1/25 国算100点・理社75点(合計350点)
2次(45名) 1/24~1/27 2/2 2/3 2/3 国算100点・理社75点(合計350点)

 

市川中学校  (偏差値:56)

出願期間 試験日 合格発表日 手続締切日 受験科目
第1回(男子180名・女子100名) 12/16~1/15 1/20 1/22 1/25 国算理社100点(合計400点)
第2回(40名) 1/22~2/3 2/4 2/4 2/5 国算理社100点(合計400点)

 

東邦大東邦中学校  (偏差値:55)

出願期間 試験日 合格発表日 手続締切日 受験科目
推薦(40名) 11/8~11/12 12/1 12/2 12/3 国算100点・理社50点(合計300点)
前期(240名) 12/3~1/11 1/21 1/23 1/24 国算理社100点(合計400点)
後期(20名) 1/23~2/2 2/3 2/4 2/4 国算100点・理社50点(合計300点)

 

昭和学院秀英中学校 (偏差値:54)

出願期間 試験日 合格発表日 手続締切日 受験科目
午後特別(30名) 12/18~1/14 1/20 1/21 1/22 国80点・算120点(合計200点)
1回(110名) 12/18~1/14 1/22 1/23 1/24 国算100点・理社50点(合計300点)
2回(20名) 1/25~1/31 2/2 2/2 2/3 国算100点・理社50点(合計300点)

 

稲毛市立国際中等教育学校 (偏差値:48)

出願期間 試験日 合格発表日 手続締切日 受験科目
1次検査(160名) 11/18~11/25 12/11 12/22 1/13 適性検査Ⅰ(国社)、適性検査Ⅱ(理数)
2次検査 (1次合格後)1/11~1/13 1/24 2/1 2/3 適性検査Ⅲ(論述と英語)、面接

 

千葉大学教育学部附属中学校 (偏差値:46)

出願期間 試験日 合格発表日 手続締切日 受験科目
1次選考(書類審査) 12/25~12/28(出願は志願者本人) 1/7に郵送で発送 書類審査
2次検査(60名) 1/21 2/12 プレゼン、作文、総合問題(記述式)

千葉市立稲毛国際中等教育学校について(令和4年入試と改革)

  • 2022年度(2021年実施)の入試では、以下の4. 【入試改革のポイント】で予想したように、一次検査の国語では、長い記述問題が課されなかったようです。やはり一次で人数を絞り、二次で長い記述を課し、じっくり採点するということのようです。
  • 2022年度入試の二次検査において、英語に関してはリスニングだけ、それも僕の生徒の感覚ではとても簡単なものだったそうです。やはり英語に関しては特別な対策がいらないと思います。また二次検査の作文問題は9~10行で『生きるために必要なことは何か』といった題だったそうです。
  • 特徴的だった非常に長い記述は廃して、一般的な入試に寄せてきている印象です。これからは大学進学実績を上げていきたい、ということだと思います。
  • 稲毛高に通う生徒の話では、今年度から定期試験がなくなり、年8回の中テストのみになるそうです。これによって定期試験前の部活停止期間がなくなります。その代わりに年3回の外部模試(大手進学塾のもの)を重視して、外部模試の前に部活停止期間を設けるそうです。学校で習った内容を丸暗記するような定期テスト対策よりも、実力を養わねばならない外部模試対策を重視するのは良いことだと思います。このことからも大学進学実績を上げていこうという先生達の意気込みが感じられます。
  • 2022年度入試では僕の生徒が2人合格しました。今年も駆け込みで受験を決めた生徒は苦戦しました。一般的な中学入試に近付いていることもあり、付け焼き刃の対策では合格が難しくなっています。少なくとも1年前から対策した方が良いと思います。できれば周辺私立中学にも合格できるような実力を持った上で、稲毛も受けるという形が望ましいです。

 

【目次】

  1. 入試日程
  2. 改革のまとめ
  3. 入試改革について
  4. 入試改革のポイント
  5. 入試の合格点について
  6. 校舎の大規模改修について
  7. 受験勉強の方針

 

【入試日程】

令和4年の募集要項はこちらになります。

https://www.city.chiba.jp/kyoiku/gakkokyoiku/kyoikukaikaku/documents/r4tyuutoukyouiku_boshuuyoukou.pdf

  • 出願書類の提出期間 11/18~11/25(郵送のみ)
  • 定員160名(男女別の定員数なし)
  • 1次検査 12/11(適性検査を行う)
  • 1次検査の結果発表 12/22(インターネットと郵送)
  • 2次検査の書類提出期間 1/11~1/13(郵送のみ)
  • 2次検査 1/24(適性検査と面接)
  • 2次検査の合格発表 2/1 (インターネットと郵送)

 

【改革のまとめ】

市立稲毛が完全な中高一貫校になり、名前も少し変わるようです。下のURLが千葉市教育委員会から発表されたものです。

https://www.city.chiba.jp/kyoiku/gakkokyoiku/kyoikukaikaku/documents/r3tyuutokyoikukihon.pdf

長いのでまとめると

  • これまでは千葉市立稲毛高等学校が附属中学校を設置している形だったものが
  • 高校からの入学をなくし、これまでの併設型中高一貫教育校から完全な中高一貫校へ
  • 名前を『千葉市立稲毛国際中等教育学校』とする
  • 現在高校にある国際教養科を廃止して普通科のみになる
  • 英語教育と国際教育をさらに充実させる(英語でディスカッション、全員が海外研修、海外への大学進学増加を目指す、中国語など第二外国語を選択できるようにする、前期(中学相当)からネイティブのみの英語授業がある)
  • これを機に校舎を大規模改修する
  • 1学年160人(4クラス)中学受験での定員が増える!!
  • 学区は千葉市内(これまで通り)
  • 令和4年の4月から(令和4年に中学に入学する生徒から『国際中等教育学校』に入ることになる)
  • 後期(高校相当)で単位制となり、好きな教養科目を選択
  • 制服変わらず

市立稲毛に入りたいと考えている生徒(ご家庭)にとっては、高校からの入学者がなくなり中学受験のみになったという点と、中学受験の定員が増えるという点が重要でしょう。それ以外は順当に時流に合わせたという印象です。英語教育重視もこれまで通りです。

 

【入試改革について】

  • 定員が80名から160名に増える
  • 試験の形式が変わる(1次検査と2次検査の2段階になる)
  • 1次検査の中に適性検査Ⅰと適性検査Ⅱがあり、1次検査の合格者のみ2次検査に進める。2次検査は適性検査Ⅲと面接がある
  • 2段階になった関係で受験の日程が変わる
  • 1次検査で320名までしぼる

これまでは1日で適性検査・適性検査・面接を行なっていたが、令和4年入試から一次検査で適性検査・適性検査を行い、二次検査で適性検査と面接を行う形になりました。面接はコロナ次第でなくなる可能性もあるでしょう。

↑こちらが令和4年(改革後)の検査内容。令和4年の募集要項より。

 

【入試改革のポイント】

  • 適性検査ⅠとⅡと面接は全く変わらない。
  • 適性検査Ⅲが追加された。
  • 適性検査Ⅲには①と②があり、①は英語、②は自分の意見の論述。

↑こちらが令和3年(前回・改革前)の検査内容。令和3年の募集要項より。

令和3年(改革前)と令和4年(改革後)の募集要項を比べると分かる通り、適性検査・適性検査・面接の内容については、全く変わっていません。変化があるのは新しく追加された適性検査です。適性検査には①と②の2つの内容があります。

  • 適性検査 小学校の外国語活動や外国語科の授業で学習した内容を基に、思考・判断する力をみる
  • 適性検査 自分の思いや考えが明確になるように、文章の構成や展開を考え、筋道の通った日本語の文章を書く力をみる。

適性検査の①は要するに英語の問題、あるいは英語に関係する問題が出題されるということです。ただしこれは小学校の内容と言明されているので、本格的な英語力は必要とされず、千葉大附属中の英語の問題に近い形になるのではないでしょうか。下の写真は当サイトで作成した令和3年の千葉大教育学部附属中の入試問題です。参考にしてください。帰国子女で英語に慣れていても、分析力や日本語での記述力がなければ、特段有利ということにはなりません。

千葉大教育学部附属中学校のまとめ(基本情報と入試対策)(2021年度入試を終えて更新)

適性検査の②に関しては、適性検査の内容と重複しています。これまでも適性検査にかなり長い記述問題(20400字程度が含まれる)が課されてきました。僕はこの長い記述問題が適性検査から適性検査に移動するのではないかと予想しています。

これに伴って適性検査に長い記述がなくなり、早く採点できるようになります。一次検査は大学受験のセンター試験(共通テスト)のような位置付けで、採点しやすい形式になるのではないでしょうか。

もちろん、これまで通り適性検査にも長い記述があり、さらに適性検査にも記述を課す可能性もあります。その場合は、適性検査は資料や文章の読み取り、適性検査は自分の意見を書くという住み分けになるでしょう。

受験対策については下の【受験勉強の方針】をご覧ください。

 

【入試の合格点について】

  • 1次検査の合格基準は50%と思って良い。

稲毛中には合格した生徒が受験時の点数を開示してもらえる制度があります。3年前に合格した僕の生徒が自分の成績を確認した所、200点満点中85点だったそうで、周りの生徒と比べてもギリギリの成績だったようだと教えてくれました。3年前と比べれば入試自体は難化していますが、今年は募集人数が多くなっているので、1次検査の合格点はそれほど変わらないものと思います。当然合格点はその年の問題の難易度によりますが、過去問に取り組むときには50%を目指せばよいと思います。記述が多いので、家庭教師や塾などに依頼して、甘い採点にならないように気を付ける必要があります。ポイントがずれているのに、丸にしてしまい、「受かりそう!」などと楽観してしまう生徒がいますが、それほど甘くありません。過去問を何周も解いて安心するのではなく、1年ずつ丁寧に採点・分析し、理解を深める必要があります。

 

【校舎の大規模改修について】

  • 新しい建物を建てるのではなく改修。
  • 電子黒板などICT教育に向けた改修。(一人一人が端末を持つ)
  • 工事は令和5~8年。
  • 工事期間中は前期(中学相当)の生徒は旧千葉市立高洲第二中学校を利用する。後期(高校相当)の生徒は仮校舎を現在のグラウンドの位置?に建設して全てそこで行う。
  • 体育のグラウンドや体育館が不足するので、近隣の施設を借りる。
  • 工事期間中は中高の校舎が分かれるため、中高の交流が少なくなる。

ICT(情報通信技術)への対応に関しては、私立中で流行っているものをそのまま取り入れる感じになるでしょう。タブレットで資料を配ったり、宿題を提出したりということになると思います。これは既に稲毛中でも行われています。勉強の内容が大幅に変わることはありませんが、勉強のためと言いながらタブレットで余計なことをしないよう、両親が管理に腐心することになります。

部活は大きな影響を受けるようです。近隣施設に出向いて部活をするのは、大きな負担になるので、特定の部活を頑張りたい生徒は確認が必要です。

 

【受験勉強の方針】

  1. 市川・東邦大東邦・秀英あたりの私立にも合格できる力をつけるつもりで、4年生からSAPIX・四谷大塚・早稲アカで勉強した上で、6年生になってから市進などで稲毛特化の講座を受講するのが確実。
  2. 私立は絶対行かないという生徒は最初から市進などでもよい。
  3. SAPIX偏差値は48、市進・京葉ではトップクラスを維持する必要あり。
  4. 特殊な問題なので、塾の稲毛向け講座か家庭教師で対策するのは必須。
  5. 学校の勉強だけで受験に向けた勉強をしてこなかった生徒が、6年生になって急に受ける気になってもほぼ合格できない。
  6. 読書や長い文章を書くのが苦手な生徒は圧倒的に不利。
  7. 英語は特別な対策は必要ない。英語の構造や語彙について興味を持つことはよい。
  8. 1次検査の合格点は50%程度(前述)。

上の【入試について】に書いた通り、入試の方式が変わっても、基本的な内容は変わらないと思ってよいです。ただし、ここ数年で算数が難化していることには注意が必要です。令和4年入試から定員が倍になるので、合格難易度が下がる可能性もありますが、市立稲毛の人気はとても高く、それほど期待しない方がいいでしょう。

以前は学校の勉強をしっかりして、資質として読解力・記述力・思考力があれば、合格できました。つまりそれなりに優秀な子が、しっかり読書していれば、特別な受験勉強は必要ないという印象でした。

志望者が増えて難しくせざるを得なくなったため、あるいは独自問題のネタが尽きてきたためでしょうか、今では理系の問題(適性検査)が一般的な私立中学で出題されるようなものに近くなってきました。最終的に合格するのは、中学受験用の塾で、一般的な私立の受験問題も解ける生徒が多くなってきました。文系の問題(適性検査)も直接知識を問われることは少ないにしても、中学受験的な知識があると有利です。

京葉や市進(地元密着のわりとのんびりした塾)であれば、その学年のトップレベルを維持し、早い段階から稲毛の受験問題を意識した勉強が必要になります。自分でも理数の勉強を進めないと合格が難しいと思います。添付写真は最新版(2022年度入試版)のSAPIXの偏差値表ですが、稲毛は男女とも48になっています。これは京葉や市進では偏差値60程度かそれ以上に相当します。

市進の合格実績は高く感じますが、私立入試を諦めた他塾からの転入生、稲毛入試用の講座を受けにきた生徒も含んでいると思われるので注意が必要です。基本的には市川・東邦大東邦・秀英あたりの私立向けの勉強をできるだけ頑張った上で稲毛も受ける、あるいは6年の段階で私立を諦めて稲毛に絞るという流れが一番合格しやすいと考えています。小学校中学年の段階から稲毛中一本に絞るのは危険だと思います。

ただし稲毛は入試問題が特殊なので、一般的な私立中学受験向けの勉強だけで臨むのは極めて不利です。過去問をしっかり採点し、解説してもらう必要があります。SAPIX・四谷大塚・早稲アカのみでは難しいです。稲毛入試用の対策講座を行っている塾は有効です。それでもご両親が一緒に解いてしっかりフォローするか、家庭教師が必要になります。

稲毛は受験者倍率がとても高いですが、半分以上の生徒は記念受験です。つまりしっかりした中学受験勉強をしてこなかったにも関わらず、「受かったらラッキー」といった感覚で受験する生徒がとても多いということです。公立中なので費用がかからないということもあり、「友達が受けるから受ける」「経験として受ける」生徒が多いようなのですが、こうした態度は僕はおすすめしません。稲毛を狙うのであれば5年生から受験勉強が必要です。数ヶ月の付け焼き刃の勉強ではまず合格できませんし、そうしたいい加減な態度を親が示すことで、子供に悪影響があります。勉強は理解を第一にした地道な努力が必須ですし、ラッキーで受かることはありません。逆に言えば、何年もかけて頑張って勉強してきた生徒は、倍率が高いからといって恐れる必要はありません。受験本番は周りの生徒が優秀そうに見えると思いますが、ほとんどは30%も得点できない生徒です。

長い記述を書くことが苦手な生徒は向いていません。読書が嫌いな生徒も向かないでしょう。400字程度の文章が20分程度で書けない生徒は厳しくなります。数理的な問題でも決まりきった問題ではなく、(少なくとも表面上は)見慣れない問題文を読み取って考える必要があります。向き不向きは過去問を解いてみることで分かります。最初から諦める必要はありませんが、特殊な問題を課す学校なので、向いていない生徒は別の学校を目指した方がよいです。

英語については特別な対策は必要ない、というより短期的に有効な対策はあまりありません。英語力というよりは分析力・思考力・記述力が問われる問題になります。似たような英語問題を課す千葉大附属の問題などで慣れておく以外ありません。対策をするのであれば、英単語の語源に関する本を読めば、そっくりそのまま出題される可能性がありますし、中学以降の英語の勉強にも役立ちます。

 

【家庭教師の依頼について】

稲毛の入試は特殊なので、個別指導や家庭教師、あるいは塾の稲毛対策講座で対策するとかなり有利になります。記述問題が多いので、それを厳しく採点し、どう解くのか時間を割いて説明してあげることが大切ですが、ご家庭ではなかなか難しいのではないかと思います。

稲毛入試に関しての家庭教師の依頼はinfo@baytown-tutor.comまでお気軽にどうぞ。入試直前は間に合わない、あるいは僕の予定が空いていないということが多いので、お早めにお願いします。

90分の無料体験授業をしています。まずは体験授業を申し込んで頂き、少し一緒に勉強すれば、今後どのように勉強していけばよいのか、アドバイスを差し上げることができます。体験授業を受けたからといって、その後継続的に授業を受ける必要はありません。

ご質問やお悩みだけでも、無料で可能な限りアドバイスをしますのでまずはご連絡ください。

2020年の指導例③ SAPIX→市川・東邦大東邦→慶應中等部(2021年受験)

今年度は受験生の生徒が多かったのですが、やっと落ち着きました。今回は3人目の生徒の報告をします。C君とします。

C君は都内の生徒だったのですが、比較的教えに行きやすい地域であったこともあり、オンライン授業を組み合わせて指導しました。結論から言うと、慶應中等部に進学しました。本格的に受験勉強を始めるのが遅く、また慶應への憧れが強く、正直な所かなり苦労した指導でした。

最初は受験自体するつもりがなかったのですが、5年の夏に受験を決めたそうです。SAPIXの入塾テストを受けた所、不合格となり、僕が指導に行くことになりました。相談の結果、やはり難関校を目指す上でSAPIXの優位性は揺るぎないため、他塾に入って勉強しつつ、SAPIXの入塾テスト対策も行うということになりました。当面は他塾の内容はご家庭でこなし、SAPIXの対策を僕としました。SAPIXのテキストや問題を僕が持参して、一緒に解くようなスタイルでした。

もともと勉強をしてなかっただけで、頭の良い生徒だったので、6年になるまでにSAPIXに入塾できました。とはいえ、慶應を目指せるレベルでは全くありませんでした。特に社会に対する拒否反応が強く、全く勉強する気が起きないという状態でした。勉強を始めるのが遅かったので、他の生徒が知っている内容が蓄積されていませんでした。地理などは塾の授業が完全に終わっており、他の生徒が1年かけて勉強した内容を、一人でこなさねばならない焦りがプレッシャーになっていたようです。

僕とは週一回の授業だったので、それまでの算数・理科中心の授業をやめて、社会だけをやることにしました。これに関してもご両親と相談を重ねたのですが、どうしても『算数が大切』『得意教科を伸ばすべき』という意識が強く、僕との勉強時間を社会に集中することに抵抗があったようです。ですが、中学受験において『苦手強化を捨てるという選択肢はない』とお伝えしました。

慶應に関しては合格点が高いこともあり、苦手強化で補うことはほとんど不可能なんですね。たとえば算数の合格点が70点だとすると、いかに得意教科でも90点取れる生徒はほとんどいません。事実C君も得意だと思っている算数が、実際に模試や過去問で合格点よりも5~10点上という状態でした。それに対して、苦手教科の社会は配点が低いとはいえ、合格点に10点以上及ばないということもしばしばありました。

また『苦手教科を捨てる』ということが戦略ではなく、本人もご両親も『苦手教科をやりたくない(やらせたくない)から』という理由であることが多いことが問題です。教育的に正しいかどうかはともかく、勉強というのは『できないことをできなくすること』です。苦手なものに時間をかけるのが、王道の戦略です。

得意教科は自分でもストレスなく勉強できるということもあり、僕とは『社会だけ』と決めました。『他の教科もあり』にすると、どうしても好きな教科を持ち出して『ここがわからない』『ここを教えてほしい』となってしまうので、そこは徹底しました。

直前期には国語もやったり、地理を捨ててまた戻ったりと、紆余曲折があったのですが、受験を始めるのが遅い生徒らしく、ラストスパートがききました。算数が得意だったこともあり、市川と東邦大東邦に合格した上で、慶應3校を受け、最終的に中等部のみ合格できました。苦手教科を潰す話と矛盾するようですが、理系教科が得意だと市川・東邦大東邦にかなり有利で、1月に合格をもらっていたことで、その後の受験が楽になりました。

僕も毎年生徒を教えていて、さまざまな発見があるのですが、『苦手でも隣にピッタリついて1から教えればできるようになる』『どの教科をどれだけ勉強するかが大切(特に苦手教科)』『塾は3~4年からが良い』ということを再確認しました。