千葉市近辺に住んでいる生徒にとって、市立稲毛や千葉大附属中は穴場となりうるということは、これまでもこのブログで書いてきました。今回は千葉大附属中についてまとめてみます。どういった学校なのか、どのような生徒が入りやすいのか、どういった受験対策をすれば良いのかを書いていきます。
千葉大附属中学を目指すべき生徒
- 中学受験を考えて塾に通ってきたものの、千葉周辺の難関私立中学(市川・秀英・東邦大東邦・渋幕あたり)が厳しそうな生徒
- 理数系よりも文系が得意な生徒
- 読書や作文が好きな生徒
ベイタウンから通える範囲の学校の偏差値は近年かなり高くなっています。SAPIX偏差値で50以上(一般的には60程度)ないと、めぼしい学校がないというのが現状です。そこまでは届かないけれど、これまで一生懸命勉強してきたのに、地元の公立中学に行くのはちょっと、と考えている生徒は、偏差値的に見ても市立稲毛や千葉大附属中が狙い目です。
また、問題傾向が私立中学の受験とは全く違います。理系科目で苦戦している、暗記が苦手、文系が得意、思考力や読解力がある、その場で工夫できる、という生徒は、公立中学受験に向いています。
一方で、全く勉強してこなかった生徒が『受かれば儲けもの』のような気持ちで受験しても、千葉大附属中などに合格できることはありません。そうしたギャンブルのような考え方で受験するのは、今後の勉強態度にも悪影響を及ぼすので、やめておいた方がいいでしょう。受けるのであれば、しっかりと対策し、合格の可能性がある状態で受験すべきです。
学費について
千葉大付属は、千葉大学が国立ですので、当然国立です。ですので学費の心配はしなくて良いでしょう。
高校受験について
千葉大附属中学は、中高一貫校ではありません。中学までしかないので、高校受験をしなくてはいけません。中学受験に向けての準備が間に合わなかったけれども、最寄りの公立には行かず、少し高いレベルで高校受験を目指したい、という生徒に向いていると思います。
選抜基準(入試で試される能力)について
① 学校の調査書・・・国立なので、学校の調査書の内容はしっかり見るものと思われます。小学校で問題行動があったり、成績が悪いとかなり不利でしょう。逆に学級委員や賞など、特筆すべきものがあれば有利になります。
② 自己アピール申請書・・・指定に従って書いたものを願書と一緒に提出します。これに基づいて、プレゼンテーションがあるので、かなり重要になります。
③ 自己アピール(プレゼンテーション)・・・自己アピール申請書に基づいて、試験日に2分のプレゼンをします。これは予め決めていったことを話せば良いので、じっくり練習していけば、問題なくこなせると思います。
④ 討論(ディベート)・・・2021年の入試では、コロナの影響で行われません。ですので、今回に限り、ディベートなど、人前で意見を言うことが苦手な子でもチャンスがあると言えます。
⑤ 作文
⑥ 総合問題(教科の学習をベースとした記述問題)
といったものになります。読解・記述・弁論に偏っていることは明らかで、塾の成績(特に理系)が思わしくなくても、チャンスがあると言えます。
合格倍率について
上記は令和2年の志願者と合格者になっています。これによれば、1次試験(書類選考)は404人のうち350人合格しているので、学校で問題を起こしておらず、願書と自己アピール申請書を丁寧に書けば、基本的に通るものと思われます。
2次選考は341人中61人が合格、補欠合格者を合わせれば137人が合格しているので、合格(補欠含む)の確率は40.1%となります。公立中学入試は上で述べたような、『受かれば儲けもの』『記念受験』という感覚で受ける生徒が一定数いるので、きっちりと勉強した生徒にとっては、かなり合格確率が高いと言えます。
補欠合格がかなり多いのも特徴で、千葉大附属中に合格したものの、難関私立中学(市川・秀英・東邦大東邦・渋幕あたり)にも合格したために、千葉大附属中は辞退する生徒が多いと思われます。千葉大附属中に合格しても、3年後には高校受験をしなければならないので、それを敬遠する層がおり、難易度が下がっているとも言えます。
市進の対策講座について
一般的な中学入試ではないので対策が難しいです。特殊なだけに、しっかり対策すればチャンスが高まると言えます。
市進で対策講座を行なっており、もともと市進に通っている生徒の受講が多いですが、外部から受講することもできます。2020年(2021年の受験)は2週間に1度、全7回の講座です。自己アピール文の書き方や、作文、総合問題、プレゼンテーションの練習など、必要なことを全てカバーしているようです。
入試本番のプレゼンテーションは事前に準備していったことを話せば良いのですが、塾の対策講座などで人前で大きな声で話す練習をしていなければ、本番でしっかりアピールすることは難しいでしょう。家だけでの対策は難しく、こうした講座の受講はほとんど必須だと思います。
プレゼンテーションの練習ではグループに分かれ、グループ内の生徒でプレゼンを評価しあい、アドバイスをするようです。紙を見ないで顔を上げて話す、大きな声で話すということが重視されているようです。プレゼンの内容について、塾の先生の評価を記したものをもらえると良いのですが、そうしたものはなかったようです。あくまで『度胸をつける場』として考えれば良いのかもしれません。
総合問題対策について
こちらは普通の教科の勉強がベースになると書いてある通り、塾に通ったり問題集を解くことでコツコツ身につけていくしかありません。
記述問題なので、単なる知識を聞かれることはないでしょう。公立中高一貫校の問題集で、記述問題を選んで解くことが良い練習になると思います。
また市立稲毛を併願する生徒は、市立稲毛の過去問をしっかりやりこむことも有意義だと思います。
作文について
こちらも一朝一夕に対策できるものではありませんが、作文に関しては、『読書をすること』『とにかくたくさん書くこと』しかありません。できるだけ早い段階から多く読書をすること、長い記述問題に抵抗感がなくなるようにすることが大切です。読書・記述が大嫌いという生徒は、千葉大付属中に向いていないと言えます。