- 今年(2021年12月1日実施)の東邦大東邦の推薦入試が終わりました。僕の生徒が受験し合格しました!今年は問題が難化し、例年200点以上の合格者最低点が173点だったとのことです。
【目次】
- 東邦大東邦の推薦入試の基本情報
- 推薦入試とは
- 倍率と合格者最低点について
- 受験勉強の方針
- 2018年度の算数の分析
【東邦大東邦の推薦入試の基本情報】
学校公式サイトの入試情報はこちら
- 募集人数は40人→男女別の人数は定めていない
- 合格した者は必ず入学しなければならない→実際には保護者の転勤・離婚・死亡などのやむを得ない事情であれば辞退が許される
- 入試日は12/1(水)
- 合格発表はサイト内で翌日12/2(木)10:00~
- 入学手続きは12/2(木)10:00~12/3(金)15:00
- 国100点、算100点、理50点、社50点
【推薦入試とは】
推薦入試といっても、小学校から推薦してもらうというではありません。『自己推薦』です。そのために以下のような自己推薦書の提出が求められます。
もちろん丁寧に書いて出す必要はありますが、『推薦入試』という名前を付けるための建前です。試験の合格者最低点を発表しているくらいですから、実際には試験で決まるでしょう。
東邦大東邦の推薦入試とは、『合格したら必ず入学してもらいますよ』『その代わり普通に前期試験・後期試験を受けるよりは少し合格しやすくなりますよ』というものです。
【倍率と合格者最低点について】
以下は公式サイトに記載されているものです。
年度 |
男子 |
女子 |
倍率 |
合格者最低点 |
2021 |
19 |
21 |
18.20 |
203点 |
2020 |
18 |
12 |
24.90 |
206点 |
2019 |
19 |
11 |
19.37 |
223点 |
2018 |
18 |
12 |
19.63 |
230点 |
2017 |
19 |
11 |
21.17 |
213点 |
- 2021年から募集が40人になって、少し入りやすくなった
- 2020年までは男女別の合格者数に何らかの意図が働いていたものと思えるが、今後はそういったことはなさそう
- 300点満点の200~230点の合格者最低点はかなり高い67%~77%
- 倍率20倍はかなり高い
この情報だけ見ると、絶望的な難しさだと感じるかもしれません。ですが、こうした表面的な数字だけで入試を考えてはいけません。大切なのは実際の過去問に取り組んでみて、その難易度と傾向を体感することです。
実際に解いてみると、かなり簡単な問題です。同じ東邦大東邦の前期試験の問題や、市川の問題に比べると圧倒的に解きやすく、時間が足りないわけでもありません。
つまり合格者最低点が高いのは問題が簡単だからで、倍率が高いのは前期に東邦大東邦を受ければ合格できであろう生徒達が受験するからです。
言うまでもなく、東邦大東邦の推薦入試は、合格しなければ入学しなければならないというものですから、東邦大東邦よりも難しい学校に合格できる可能性のある生徒は基本的に受けません。例えば渋幕が第一志望の生徒は東邦大東邦の推薦入試は受けないのですが、東邦大東邦の前期試験は渋幕が第一志望の生徒や都内の難関校を受ける生徒が多くの合格枠を攫っていくことになります。市川や秀英が第一志望の生徒も、とりあえず東邦大東邦を受けるでしょう。
ですから、東邦大東邦の前期試験と推薦入試は、受験者層が全く違うので、倍率が高くても恐れる必要はありません。ただし、受験者平均点は無視しなくてはなりません。受験者平均点よりも合格者最低点の方が遥かに高いので、受験者の中の平均点を取ったからといって喜んでいては合格できません。
【受験勉強の方針】
簡単な問題で、時間制限も厳しくないので、ミスをしないことが第一になります。また基礎的な知識や解法をしっかり身に付けていることが必要になります。
また東邦大東邦入試のメインである前期試験は、SAPIX偏差値で55になっています。推薦(合格したら入学しなくてはならない)という縛りで有利になるとはいえ、それまで塾でしっかり勉強していない生徒は合格できません。SAPIX偏差値でいうと50程度、他塾では55~60程度の偏差値は必要でしょう。また塾に通っていない生徒、あるいは家庭で中学受験の対策をしていない生徒が偶然受かることはありません。
また東邦大東邦の前期試験は4教科とも100点満点であるのに対し、推薦入試は国算100点・理社50点ずつなので、理社が苦手な人には少し有利になります。ただし、前述の通り合格者最低点が高い(67%~77%)ですので、苦手な科目を捨てて、得意な科目を頑張るという勉強法は通用しません。例えば、合格者最低点が70%だとして、算数で50点を取ってしまうと、国語で取り返すならば90点取らねばならなくなります。とにかく基本を大事に、苦手をなくすことが大切です。
ほとんどの生徒にとって最初の受験になります。また塾で定期的に行われるテストよりも取らねばならない点数が高いです。また推薦入試の過去問が数回分しか手に入りません。以上のことから、過去問演習は緊張感を持って、大切に行わねばなりません。僕の生徒には見ている前で解いてもらいますが、難しい問題で頑張り過ぎて時間が足りなくなったり、7割以上得点しなくてはならないという感覚が掴めず、全問題をとりあえず埋めただけで手応えを感じてしまい合格点に届かないということがあります。
塾での平常授業を大切にして、基礎学力を付けておくことが前提ですが、直前期の過去問演習によって得点のコツ・感覚を掴んでおくことがとても大切になります。
【2018年度の算数の分析】
1⃞はシンプルな計算問題・・・間違えると痛手になります。
2⃞は小問集合。(3)は紛らわしい悪問。5人の生徒がいて5人全員がそうじ当番となるとき、日本語として『選ぶ』とは言えない。理数系偏重の東邦大東邦の知性の限界を感じてしまう問題。『1~4人をそうじ当番にする』という問題にすれば済むのに、誰もチェックしないというのは、問題作成体制にも問題あり。その他の問題は、中学受験用の塾で頻出の定番問題。
3⃞約束算。(1)は簡単で必ず解けなければならない。(2)はやや難。aの方が小さい場合と、aの方が大きい場合の2通りについて考えねばならない。やや難しいが合格点を取るためにはクリアしなければならない問題。
4⃞食塩水。同量を移す問題は塾で必ず習う問。(1)は簡単で必ず解けなければならない。(2)はやや難。定番問題ではあるが、きれいな数字にならないので意外と苦戦するかも。以下解説。
5⃞平面図形。それほど難しくないので、全問正解したい所。ここで全問正解しておかないと、70%得点するのが難しくなる。以下解説。