今年は受験生の指導が多い年でした。
短期間の生徒を含めれば12人にとなり、僕の指導歴の中でも最も多かったかもしれません。また女の子の生徒が多い年でもありました。
長期的に指導した生徒を中心に何人かご紹介するつもりですが、このポストではA君(開成・渋幕・市川合格)について書き留めます。
元々都内で指導していたご縁から、今もご紹介を頂くことがあります。A君は都内のSAPIXの大規模校に通う生徒でした。アルファ3前後を行き来しており、アルファ1になかなか上がれないという状況で5年生の夏にご依頼を頂きました。
算数は天才的な閃きを見せることがありました。テクニックに頼りすぎて、地道な検証が苦手ではありましたが、総じてSAPIX偏差値65以上をキープしており、算数オリンピックにもチャレンジしていたので、特に問題はありませんでした。
とにかく国語が苦手で、文章を読む楽しさを感じられないようでした。基本的には勤勉な子なので、ご両親に指定された本は読むのですが、熱中はできず、国語の点数にもつながりませんでした。
理科や社会はエクセルに暗記項目を自分でまとめており、その作業が好きなせいか、高いレベルを維持していましたが、読解力・応用力が求められる場面で失点することがありました。
自然と、僕との授業は国語が中心となりました(たまに理科の難しい問題や算数オリンピックの問題を一緒に解くこともありましたが)。理系と文系に分けることに意味があるとすれば、ご両親もA君もガチガチの理系脳で、数式のようなシンプルな論理で国語の問題も解けると信じているようでした。
本来国語が得意な子はまず語彙が豊富で、話題・概念・状況・感情のストックも豊富なのだということを伝えました。知らない言葉で書かれた、知らない分野の文章は、いくら頭の良い子でも解けるはずがありません。
記述問題に関しては、関係ありそうな部分を抜き出しているだけで、何を問われているかをしっかり掴もうとしておらず、何を答えるべきかも定まっていない様子でした。一度「論理的に解かなきゃ」という考え方をリセットして、読んだことの意味をとらえ、物語を楽しみ、聞かれたこと(設問)にまっすぐ答えることを意識してもらうようにしました。当然、設問の絞り方や記述の書き方のテクニックについても無駄ではなく、受験が近づくのに合わせて、徐々に伝えていきました。
国語の調子が良い時にはアルファ1に上がれるようになりましたが、最後までアルファ1~4を行き来しつつ、若干の不安を残した状態で受験となりましたが、渋幕と開成に合格してくれました。やはり圧倒的に算数ができるというのは、中学受験で圧倒的なアドバンテージだと再認識しました。入試問題の自己採点も一緒にしましたが、国語の記述も的外れなことは書いておらず、無難にまとめられていました。筑駒は残念でしたが、筑駒はオールラウンダーでなければやはり難しいようです。
国語の勉強は成果が見えづらく、SAPIX5~6年で問題が難しくなっていく中で成績をキープするだけでも難しいので、やっても無駄と考えて「国語を捨てて」しまう子が多いです。A君(とご両親)に関しては、苦手でも国語から逃げなかったことが勝因だったように思います。
具体的は毎週の授業としては、SAPIXの国語Bの教材(記述対策)を一緒に解いて、添削・解き直しをしました。またSAPIXのテスト前には、これまでのテスト傾向から僕が問題を用意して対策をしました。読書に関しては、今読んでいるものについて、僕もできるだけ読むようにして、内容について話し合いました。6年の夏以降は過去問を中心にたくさん問題を解きました。