2025年入試 生徒の合格③ 女子学院・市川・東邦大東邦・秀英

女子学院・市川・東邦大東邦・秀英に合格したDさんは、5年の夏頃からの指導でした。

もともと能力が高く、SAPIXで60くらいの偏差値を取っていたのですが、5年生の前半に勉強時間が減り、偏差値が50代前半まで落ち込みました。外で思い切り遊ぶのが好きな子でしたが、塾のない友人の中で自分だけが帰って勉強しなければならないフラストレーションがあったのだと思います。

SAPIXの宿題もうまくこなせず、テストもその場しのぎになっていたようなので、まずはその立て直しをしてもらいました。苦手の国語は僕と一緒に毎週の記述の宿題(国語Bのテキスト)をし、算数も一通り毎週の内容をチェックしました。塾のマンスリー・組み分け対策もして、波はありつつもおおむね偏差値60くらいに戻りました。

その後、成績が下がると危機感からか勉強時間が増えるものの、成績が上がるとまた遊びたい熱が高まって、一進一退といった成績が続きました。しかしもともと能力が高い上に、良く遊ぶ子の方が最後に伸びることが多いので、それほど心配はしていませんでした。

6年から週2回2時間ずつの指導に増やして頂き、1回は国語・1回は算数というのを基本として、毎週の塾の教材をこなしていきました。SAPIXの通常授業のテキストに加えて、SSや土特の教材が増えてくると、全部をフォローすることはできないので、自宅学習で理解できなかった問題をまとめておいてくれて、僕の授業で解決するという形式になり、理科の質問も増えました。

家庭学習の際、分からない問題があると気になってイライラしてしまい、先に進めなくなることもあったようなので、ちょっと考えて分からないものは深追いせず僕との授業まで残しておくように伝えました。

受験直前期は過去問やSAPIXの志望校対策プリントを指導することが多くなりました。最後は算数2:理科2:国語1くらいの割合の勉強になっていました。

市川までは問題なく合格できるだろうと思っていました。実際に市川に合格をもらい、ひとまず安心しましたが、千葉受験が終わっても勉強を続けてくれました。指導開始から一貫して国語に苦労しましたが、女子学院の問題とは相性が良く、無事合格してくれました。

活発に遊ぶ子の方が、最後に伸びやすいというのは、長年家庭教師をしていて実感しています。本来小学生は5,6年生であっても外で思い切り遊ぶべきです。友人関係も大切です。ずっと勉強漬けにしても成績は伸びません。とはいえ、決定的に勉強内容に穴が空いてしまっては、どんなに優秀な子でも難関校の問題に対応できる学力を積み上げていくことができません。またストレス発散といっても、Youtubeを見続けるなどは論外です。その辺りのバランスをうまく取ることが、中学受験の一つの課題になると思います。

2025年入試 生徒の合格② 開成・渋幕・市川

今年は受験生の指導が多い年でした。

短期間の生徒を含めれば12人にとなり、僕の指導歴の中でも最も多かったかもしれません。また女の子の生徒が多い年でもありました。

長期的に指導した生徒を中心に何人かご紹介するつもりですが、このポストではA君(開成・渋幕・市川合格)について書き留めます。

元々都内で指導していたご縁から、今もご紹介を頂くことがあります。A君は都内のSAPIXの大規模校に通う生徒でした。アルファ3前後を行き来しており、アルファ1になかなか上がれないという状況で5年生の夏にご依頼を頂きました。

算数は天才的な閃きを見せることがありました。テクニックに頼りすぎて、地道な検証が苦手ではありましたが、総じてSAPIX偏差値65以上をキープしており、算数オリンピックにもチャレンジしていたので、特に問題はありませんでした。

とにかく国語が苦手で、文章を読む楽しさを感じられないようでした。基本的には勤勉な子なので、ご両親に指定された本は読むのですが、熱中はできず、国語の点数にもつながりませんでした。

理科や社会はエクセルに暗記項目を自分でまとめており、その作業が好きなせいか、高いレベルを維持していましたが、読解力・応用力が求められる場面で失点することがありました。

自然と、僕との授業は国語が中心となりました(たまに理科の難しい問題や算数オリンピックの問題を一緒に解くこともありましたが)。理系と文系に分けることに意味があるとすれば、ご両親もA君もガチガチの理系脳で、数式のようなシンプルな論理で国語の問題も解けると信じているようでした。

本来国語が得意な子はまず語彙が豊富で、話題・概念・状況・感情のストックも豊富なのだということを伝えました。知らない言葉で書かれた、知らない分野の文章は、いくら頭の良い子でも解けるはずがありません。

記述問題に関しては、関係ありそうな部分を抜き出しているだけで、何を問われているかをしっかり掴もうとしておらず、何を答えるべきかも定まっていない様子でした。一度「論理的に解かなきゃ」という考え方をリセットして、読んだことの意味をとらえ、物語を楽しみ、聞かれたこと(設問)にまっすぐ答えることを意識してもらうようにしました。当然、設問の絞り方や記述の書き方のテクニックについても無駄ではなく、受験が近づくのに合わせて、徐々に伝えていきました。

国語の調子が良い時にはアルファ1に上がれるようになりましたが、最後までアルファ1~4を行き来しつつ、若干の不安を残した状態で受験となりましたが、渋幕と開成に合格してくれました。やはり圧倒的に算数ができるというのは、中学受験で圧倒的なアドバンテージだと再認識しました。入試問題の自己採点も一緒にしましたが、国語の記述も的外れなことは書いておらず、無難にまとめられていました。筑駒は残念でしたが、筑駒はオールラウンダーでなければやはり難しいようです。

国語の勉強は成果が見えづらく、SAPIX5~6年で問題が難しくなっていく中で成績をキープするだけでも難しいので、やっても無駄と考えて「国語を捨てて」しまう子が多いです。A君(とご両親)に関しては、苦手でも国語から逃げなかったことが勝因だったように思います。

具体的は毎週の授業としては、SAPIXの国語Bの教材(記述対策)を一緒に解いて、添削・解き直しをしました。またSAPIXのテスト前には、これまでのテスト傾向から僕が問題を用意して対策をしました。読書に関しては、今読んでいるものについて、僕もできるだけ読むようにして、内容について話し合いました。6年の夏以降は過去問を中心にたくさん問題を解きました。

2025年入試 生徒の合格① 東邦大東邦(推薦)

東邦大東邦の推薦入試が終わりました。僕の生徒も1人合格者が出ました。

東邦大推薦に関しては、『推薦』であるのに、普通に前期で受験するよりも難しい印象です。『早く受験を終わらせたい』あるいは『家から東邦大東邦が近い』などの理由で、市川以上に合格する力を持っている生徒が受験してきます。

推薦であればもしかしたら楽に受かるかも、という甘い気持ちでいる生徒が今でも多く受験します。そのせいで倍率が跳ね上がっていますが、やる事をしっかりやっている生徒であれば恐れることはないと思います。

今年の問題を見た所、国語は比較的簡単だと感じました。漢字・知識がほぼないので、読書をしていない生徒でも選択肢の間違い探しのような作業が得意であれば勝負できる内容です。国語の問題のレベルが渋幕・市川・秀英と比べて頭抜けて低く、理数系重視の学校とはいえ東邦大東邦の今後が心配です。

算数は難し目だったでしょうか。やはり東邦大東邦前期に余裕を持って合格する生徒でないと、高得点は難しい印象です。

今回合格した僕の生徒は、兄が東邦大東邦に通っており、家も近い事からほぼ東邦一本の受験でした。算数は好きで進んで勉強するのですが、国語と社会が大嫌いだということで、それを一緒に勉強しました。

国語と社会は机に向かって勉強しているようでも、テキストを眺めているだけで何もしていないという状況だったので、国語は過去問を、社会はテキストを音読してもらってから問題を解きました。今回の推薦入試では選択肢が選びやすかったこともあり、国語で算数よりも高得点を取れたようで無事合格しました。

音読の作業が入るだけで、勉強に軸ができます。最近は音読の価値を過小評価する風潮にありますが、国語社会が苦手な生徒にはオススメします。

算数や理科もスポットで指導しましたが、推薦だからといって特別な偏った勉強で楽をしようとするのではなく、塾のカリキュラムを真っ当に・穴がないように理解することが肝心だと繰り返し伝えました。

今の5年生でも東邦大の推薦を目指している生徒は多いと思います。確かに東邦大東邦の推薦入試は、記述がなく・合格者も少ない事から、運要素は確かに高いかもしれません。しかし基本が出来ていない生徒が合格することは絶対にあり得ないので、射倖心に捉われずきめ細やかで真っ当な勉強を進めてもらいたいです。

受験間際の指導・来年の生徒募集

今年も受験が迫ってきました。このサイトの更新は滞っていますが、日々指導に駆け回っています。

例年通り、渋幕・市川・東邦大東邦・昭和秀英・稲毛国際の指導が中心となっています。これらの学校には毎年合格者を出しているので、今年も志望校合格の助けとなるように日々指導しています。

千葉の中学受験に加え、渋幕を目指す都内の生徒をオンラインで教えたり、ベイタウンに住む大学受験の生徒を指導しています。

忙しすぎて夏以降は新規の生徒をお断りしていましたが、塾の年度切り替えとなる2月からの生徒を募集いたします。4月以降のお申し込みはなかなかお受け出来ないので、SAPIXなどの塾のクラス上げから受験まで並走する家庭教師をお探しの方は、2月までにひとまずご連絡ください。授業枠を確保した上で、体験授業後に継続するかを決めて頂いて結構です。

 

今年(2024年1~2月)の合格実績

昨年の合格状況を記事にする間もなく、今年の入試が終わってしまいました。詳細に書くといつまでも完成しない可能性があるので、ひとまず今年の合格状況をざっと記録しておきます。今年は優秀な生徒が多い年でした。

  • A君 開成・渋幕・市川に合格
  • B君 麻布・東邦大東邦(前期)・秀英(午後)に合格
  • C君 栄東・芝に合格
  • Dさん 市川・秀英(1回)・稲毛国際に合格
  • E君 早稲田中(2回)に合格
  • F君 武蔵中に合格
  • G君 名大中野・稲毛国際・専修大松戸・茗溪に合格

A君・B君・E君・F君は都内(オンライン)の生徒です。F君・G君は直前からの指導あるいは途中までの指導になりました。

ベイタウンと千葉市周辺では、私立の渋幕・市川・東邦大・秀英に満遍なく合格が貰えたのは良かったと思っています。また人気の高い稲毛国際にも2人合格を貰えました。こちらはいずれも私立を目指してバリバリやっていた子が稲毛国際にも合格を貰えたという形で、公立とはいえ一筋縄ではいかないという印象が強まっています。

長く教えていたA君の指導が開成合格という良い形で一区切り付いたことにホッとしていますが、最後はやることがなくなって、「早く受験日が来て欲しい」と言っていたことが印象的でした。

B君の麻布合格は今年一番のサプライズでした。指導を中断していて、偏差値も平均程度に落ち込んでいたのですが、夏の指導再開から本人の爆発的な集中力で合格を勝ち取りました。

Dさんは塾で苦手な算数の難しい内容を詰め込まれて自信をなくしていたので、不必要な勉強をセーブし、基礎的な内容に制限して成功した例でした。

今年は難関校合格も出ましたが、生徒の資質・努力・環境による所が大きく、毎年こうはいかないのが現実です。ただ最難関校でなくとも、それぞれの生徒が涙ぐましい努力をして、それぞれの結果を受け止めて新しいステージに進んでいく姿は、僕にとって毎年のことではありますが、嬉しく清々しく寂しいものです。海浜幕張ではSAPIXの先生方も総入れ替えといった中、来年どうなるのか不安もありますが、引き続き家庭教師として力の及ぶ範囲で頑張っていきます。

今年2月からの授業枠はあと1つとなっています。夏以降の依頼は毎年ほとんどお断りしている状況です。直前期でできることは限られますので、志望校まで偏差値が離れている方は早めにご相談ください。

2023年入試の結果① A君

2023年の受験が終わって半年経ちました。

指導が詰まってサイトの更新もままならない日が続いており、指導・合格記録を書くのが難しいのですが、そろそろ進めていきます。

受験直前の短期指導も含め、今年は千葉で受験をした生徒が6人いました(その他都内の生徒がいます)。

A君は今年唯一の都内在住の生徒で、開成・渋幕に合格しました。この生徒は元々優秀でSAPIXで上位をキープする生徒だったので、順当な合格でした。

4年の途中から指導し、SAPIXの授業の算数の分からない所(応用問題・入試問題に挑戦・頭脳トレーニングなど)のみを一緒に解きました。SAPIX偏差値60~72くらいの場合は、基本的な問題は塾での授業と自分の勉強でこなせます。難しい問題も時間を掛ければ自分でできるはずですが、分からない問題が出てきた時に、複雑な解説を読み解いたり、動画を見たり、残しておいて質問教室に行ったりというのはどうにも効率が悪いです。A君はSAPIXの教材を隅々まで解いて、消化できていないものは繰り返し解く子だったので、いつも勉強時間が不足していました。そうした状況の中、難しい問題は最初から手をつけないでおいて、僕が指導に行った時間に一緒に解き、出来なければその場で解説してその場で完結させるという形に落ち着きました。

余裕のある時期には算数オリンピックの問題を解きました。算数オリンピックの予選を突破し、ファイナルでも優秀な成績を収めました。下の画像は今年の生徒のものですが、予選を突破すると以下のような重厚感のあるファイルと少し安っぽい認定証が貰えます。アルファでもトップクラスの子には、忙しい時間の中でも算数オリンピックにチャレンジすることをおすすめしています。

理科と社会は苦手なものが出てきた時のみ、範囲を絞って一緒に勉強しました。国語に関しては、指導時間が限られていたこともあり、読書のアドバイスが中心になりました。もともと読書習慣がなく、塾のテキストを読むだけだったので、それでは入試に出題される格式の高い文には対応できないと伝え、おすすめの中から選んで読んでもらうようにしました。

基本的には塾と家庭での勉強で完結している生徒に、さらに何を与えられるかという指導になりましたが、生徒と週2時間の勉強を続ける中で

  • 難しい問題をその場で解説することで効率化
  • 算数オリンピックなど塾を超える内容を指導
  • 読書のアドバイス
  • 苦手な範囲を見つけて集中的に解決

というスタイルが確立されました。

1月に順当に市川・渋幕が合格していたことで、2月は安心して開成に臨むことができました。

渋幕のレベルがどんどん上がっているので、渋幕さえ合格していれば、開成受験でたまたま調子が悪く不合格でも、受験全体として満足してよいと思います。ただしA君の場合は鉄緑会に通うことを決めていたので、開成に合格できたことは、通塾時間の短縮という観点から大きな意味がありました。

2020年の指導例③ SAPIX→市川・東邦大東邦→慶應中等部(2021年受験)

今年度は受験生の生徒が多かったのですが、やっと落ち着きました。今回は3人目の生徒の報告をします。C君とします。

C君は都内の生徒だったのですが、比較的教えに行きやすい地域であったこともあり、オンライン授業を組み合わせて指導しました。結論から言うと、慶應中等部に進学しました。本格的に受験勉強を始めるのが遅く、また慶應への憧れが強く、正直な所かなり苦労した指導でした。

最初は受験自体するつもりがなかったのですが、5年の夏に受験を決めたそうです。SAPIXの入塾テストを受けた所、不合格となり、僕が指導に行くことになりました。相談の結果、やはり難関校を目指す上でSAPIXの優位性は揺るぎないため、他塾に入って勉強しつつ、SAPIXの入塾テスト対策も行うということになりました。当面は他塾の内容はご家庭でこなし、SAPIXの対策を僕としました。SAPIXのテキストや問題を僕が持参して、一緒に解くようなスタイルでした。

もともと勉強をしてなかっただけで、頭の良い生徒だったので、6年になるまでにSAPIXに入塾できました。とはいえ、慶應を目指せるレベルでは全くありませんでした。特に社会に対する拒否反応が強く、全く勉強する気が起きないという状態でした。勉強を始めるのが遅かったので、他の生徒が知っている内容が蓄積されていませんでした。地理などは塾の授業が完全に終わっており、他の生徒が1年かけて勉強した内容を、一人でこなさねばならない焦りがプレッシャーになっていたようです。

僕とは週一回の授業だったので、それまでの算数・理科中心の授業をやめて、社会だけをやることにしました。これに関してもご両親と相談を重ねたのですが、どうしても『算数が大切』『得意教科を伸ばすべき』という意識が強く、僕との勉強時間を社会に集中することに抵抗があったようです。ですが、中学受験において『苦手強化を捨てるという選択肢はない』とお伝えしました。

慶應に関しては合格点が高いこともあり、苦手強化で補うことはほとんど不可能なんですね。たとえば算数の合格点が70点だとすると、いかに得意教科でも90点取れる生徒はほとんどいません。事実C君も得意だと思っている算数が、実際に模試や過去問で合格点よりも5~10点上という状態でした。それに対して、苦手教科の社会は配点が低いとはいえ、合格点に10点以上及ばないということもしばしばありました。

また『苦手教科を捨てる』ということが戦略ではなく、本人もご両親も『苦手教科をやりたくない(やらせたくない)から』という理由であることが多いことが問題です。教育的に正しいかどうかはともかく、勉強というのは『できないことをできなくすること』です。苦手なものに時間をかけるのが、王道の戦略です。

得意教科は自分でもストレスなく勉強できるということもあり、僕とは『社会だけ』と決めました。『他の教科もあり』にすると、どうしても好きな教科を持ち出して『ここがわからない』『ここを教えてほしい』となってしまうので、そこは徹底しました。

直前期には国語もやったり、地理を捨ててまた戻ったりと、紆余曲折があったのですが、受験を始めるのが遅い生徒らしく、ラストスパートがききました。算数が得意だったこともあり、市川と東邦大東邦に合格した上で、慶應3校を受け、最終的に中等部のみ合格できました。苦手教科を潰す話と矛盾するようですが、理系教科が得意だと市川・東邦大東邦にかなり有利で、1月に合格をもらっていたことで、その後の受験が楽になりました。

僕も毎年生徒を教えていて、さまざまな発見があるのですが、『苦手でも隣にピッタリついて1から教えればできるようになる』『どの教科をどれだけ勉強するかが大切(特に苦手教科)』『塾は3~4年からが良い』ということを再確認しました。

 

オンラインでの家庭教師授業を開始

感染症の広がりで、学校や塾が休みになり、勉強が進まない生徒が多くなっています。

そのため家庭教師の依頼が増えていますが、一方で生徒と教師が対面することに衛生的な問題を感じるご家庭もあります。

そこでベイタウンチューターでもオンラインでの授業に対応することにしました。最近の子供はWEBやコンピューターに慣れており、オンライン授業にも適応できます。

興味のある方はメールにてお問い合わせください。

渋幕の立体図形 平成18年度 第6問

  • 『渋幕の対策をしたいのですが、他の学校の過去問演習も忙しいので、特徴的な問題を効率よく練習できませんか?』とご依頼をよく頂きます。そうした場合、立体図形の対策が第一になります。
  • 時間がかかっても良いので、しっかりを図を書いて、色々と頭をひねることが大切です。

 

印刷して解く場合はこちらからどうぞ

 

 

まず直線を軸として回転する問題について覚えておくべきことは

  1. どの点でも一回転すれば元の位置に戻ってくる
  2. ある点が一回転した時に描く軌道は円である
  3. 点を回転させると線(円)になる
  4. 線を回転させると平面(だいたいドーナツ型)になる
  5. 平面を回転させると立体になる
  6. 軸から一番近い点と一番遠い点の差を考える

1と2はよく考えれば当たり前のことですね。

3,4,5は直感的に理解できるでしょうか?

そして実際に解くためには6が必要になります。

 

(1)  辺ADを回転させるのですが、辺ADの中で軸BCから一番近いのは点Aですね。線分AHが一番距離の近いところです。そして一番遠いのが点Dです。軸BCを地面に水平に立てて、上から見てみましょう。軸の上をB、下をCとしています。

このとき軸BCの真ん中Hの高さのところに、点A,D,Hが一つの平面上にあります。

そして軸BCを中心に回転させた時、点Aは半径4cmの円を描き、点Dは半径5cmの円を描きますね。この間のドーナツ状のところが求める面積です。したがって

5×5×3.14-4×4×3.14=(25-16)×3.14=9×3.14=28.26cm2

となります。

 

 

(2)   今度は平面BCFEを回転させます。(1)では軸から一番近い点と一番遠い点を考えましたが、今度は軸ADから一番近い線と遠い線を考えます。EFの真ん中の点をIとすると、ADから一番近い線がHIで、一番遠い線がBEまたはCFです。

また上から見てみましょう。軸ADとBE,HI,CFは全て地面に垂直になっています。

赤い線に見えるのが上から見たときの平面BCFEです。この平面を回転させてできるのは、図のドーナツ形に高さ3を持たせた柱です。

この図のドーナツ形は(1)と同じものですね。ですから面積は28.26です。柱はどんな形をしていても底面積に高さをかければ体積がでます。したがって

28.26×3=84.78cm2

あるいは半径5高さ3の円柱から、半径4高さ3の円柱を引いてもいいです。

5×5×3.14×3-4×4×3.14×3=75×3.14-48×3.14=27×3.14=84.78cm2

 

[解答]    (1) 28.26cm2    (2) 84.78cm2